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第五話 荷物持ち無双する


「オオオオオオーッ!」


 僕は雄叫びを上げた。


 倒した!


 この僕がミノタウロスを倒した!


 夢じゃないのか?


 夢じゃない証拠として、僕に力が流れ込んでくる。多分、レベルアップしているのだろう。


 理屈は知らないけれど、モンスターを倒すとレベルが上がり強くなる。レベルアップするとステータスが上がり、運が良ければスキルを獲得する事もある。

 町にある冒険者ギルドで鑑定してもらったら、レベル、ステータス、スキルも解るけど、今はそのすべが無い。


 一息ついたあと、何気なくしゃがんでミノタウロスの落としたハンマーを触ってみる。


「アチチッ!」


 当たり前だ、一瞬でミノタウロスを焼き尽くす炎にさらされたんだから、熱くない訳がない。少量のエリクサーを収納から出して手に振りかける。


 騒ぎを聞きつけたのか、足音が聞こえる。まだ他に何か居るのだろう。闇に無数の人影が浮かびあがる。


 ミノタウロスだ……


 先手必勝。僕は影を狙って両手でブレスを放ちまくった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ツツッ!」


 痛い! 気を失いそうだ。


 僕は地面に落ちてる僕の右手を拾って傷口を合わせてエリクサーをかける。みるみるうちに傷が癒える。


 運が良かった。もし、最初に出会ったミノタウロスの武器が斧だったなら、僕は両断されて死んでいただろう。


 僕の周囲ではまだミノタウロスが燃えてくすぶっている。動くものはもういない。10数体はミノタウロスを倒したのではないだろうか?

 下半身が残っているミノタウロスから腰を覆っている動物の毛皮のようなものを剥ぎ取る。そして収納に入れていく。

 倒すのに慣れてきてからは、上半身だけ燃やそうとしたので、結構な枚数がある。

 けど、そのせいで油断して腕を切り飛ばされたので、なんとも言えない。


 しばらく休んだあと、毛皮と冷めたミノタウロスの落とした武器を収納に入れてエリクサーの泉に戻る。ミノタウロスの武器は重くて僕には扱えないけれど、売ったら幾らかのお金にはなるだろう。

 収納から毛皮を出して泉で丁寧に洗っていく。さすがに何もしないまま使ったら変な病気になるかもしれない。

 その中の丁度いい大きさのものを腰と首に巻く。多少ワイルドだけど、やっと全裸を卒業する事が出来た。


 今まで、この泉の部屋にはモンスターは入って来ていない。確定ではないが、ここは安全地帯なのではないだろうか。


 とても疲れたので、僕はしばらくここで毛皮にくるまって寝る事にした。この毛皮がミノタウロスの腰巻きだったことは考えないようにする。変な夢を見てうなされそうだから。


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