2代目最強の荷物持ち冒険者ギルドの掲示板で絡まれる
僕の名前はラパン・グロー。
いわゆる駆け出しの冒険者だ。いつもは町の食堂でウェイトレスをしていて、休みの日は冒険者をしている。基本的には妖精のミネアと2人で冒険していて、気が向いたらパーティーに参加する事もある。
僕のような若い女の子のパーティーを組んで無い冒険者はあまりいないので、よく勧誘されるけど、自慢では無いが、僕達と実力が釣り合う冒険者は滅多に居ないので丁重にお断りしている。
「お嬢ちゃん、俺達が面倒見てやろうか、美味しいもの食べさせてやるぜ」
ギルドの掲示板を眺めていたら、今日も多分ゴブリン並みの知能しか持って無さそうな臭くて汚いおっさんが声をかけてきた。その後ろには下卑た笑みを貼り付けた仲間と思われるおっさんが更に2人程いる。めんどくさいな。この手の輩と仕事したら面倒見るのは僕達の方になるし、美味しいものって食べ物では無いように思われる。僕の見た目はかなり幼い。それに悲しいけど胸も大きくないというかほぼ無い。けど、下心丸出しで声をかけてくる人間は後を絶たない。何なんだろうか……
「悪いですけど、面倒見て貰わなくても結構です」
「そんな事言うなよ、困ってるんだろ」
「しつけーな、おっさん、あたしたちはそういうの間に合ってんだよ、困ってるのはお前らの方だろ、女日照りで。さっさと依頼受けて、メスゴブリンでも口説いてな。このロリコン夜郎!」
頭の上からミネアが啖呵を切る。その声を聞いた他の冒険者から失笑が漏れる。
ミネアは凄いと思う。どうやったらこんなにポンポン人の心を抉る言葉が出て来るのだろうか。僕には無理だ。ある意味人の心を逆なでする天才だと思う。
「おめーら、そこまで言うって事は覚悟が出来てるんだろうな。表に出ろ決闘だ」
うわ、かなり怒ってるよ、おっさん顔真っ赤だよ。叩きのめすのは簡単だけど、正直あんまり目立ちたくない。幻術系で凌いだとしても、今かなり注目されているから何やったかばれそうだし。困ったもんだ。どうしたものか?
辺りを見渡すとこっちを見ている冒険者と目が合う。この王都最強の冒険者パーティー『フール・オン・ザ・ヘル』のパーティーリーダーのデュパンさんだ。目が助けてやろうかと問いかけている。僕は首を横に振る。僕はおっさんを無視して掲示板の依頼の紙を1つむしり取る。
「おうおう、シカトしてんじゃねーぞ」
おっさんが吠える。
「ミネア、消える魔法を」
「あいな!」
ミネアの魔法が発動したのを確認して僕達はギルドのカウンターに向かう。馬鹿をいちいち相手していたら時間の無駄だ。
「き、消えやがった!」
喧騒を背に僕らはギルドのカウンターで魔法を解き依頼を受けて、また姿を消してギルドを後にした。ギルドの受付のお姉さんはさわいでいるおっさん達を見て、終始笑いを堪えていた。平和と笑顔が一番だ。