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第四十九話 荷物持ち遭遇する

 誤字脱字報告ありがとうございます。とても助かってます。お手数ですがよろしくお願いします。


「やっぱり、逃げてしまったか……」  


 アイに連れられて行った場所には果たして誰も居なかった。まあ当然だな、僕がゴブリンでも迷わず逃げ出すだろう。


 今僕たちがいるのは村の東の街道で、北は河と接している。ちょうどここは河と道が分かれている所だ。ゴブリン達はどちらに逃げたのだろうか?


「どこに、行ったんだろ」


 マイがキョロキョロと辺りを見渡す。僕もそれに倣うが動くものは全く見えない。


 立ち止まり、ゴブリンの気持ちで考えてみる。 


 殲滅包囲網を敷いたくらいなので結構頭が良いゴブリンだと思われる。それなら答えは二択だろう。

 移動速度をとって街道を逃げたか、ドラゴンに遭遇したときに河の中に逃げられるように河沿いを進んだかだ。南東に広がってる荒野には逃げなかっただろう。荒野でドラゴンに出会ったら、間違い無く蹂躙されるだけだから。


 僕とアイが河沿い、マイが街道を進む事にする。何故そうしたかというと、アイには監視が必要だけどそれはマイでは心許ない。なぜなら、捕虜は多分マカブルの4人だと思うからだ。見たところ村人は全て酒場にいるはずだから。

 マイとアイがゴブリン達と遭遇して捕虜がマカブルだったら、初めから捕虜はなかったものとしてゴブリンごと滅殺してしまうだろう。まあそれでもいいかと思うけど、あいつらには少し頼みたい事がある。僕はアイをつれて最速で走っていく。


 正解だった。20匹ほどのゴブリンの集団がいる。大きいゴブリンが一匹いて、そいつが縛られた数人の何者かを首に紐をかけて引っ張っている。あと、そこそこに大きいゴブリンたちが神輿みこしのようなのを担いでいて、それには王冠をしたゴブリンが座っている。

 隠れる気はないので無造作にゴブリン達に近づく。


「助けてくれーっ!」


 捕虜が大きな声で叫ぶ。それを大きいゴブリンが殴り倒す。聞いた事のある声。ザナドゥだ。

 予想通り、捕虜は『ダンスマカブル』の4人だった。ゴブリンの少ない方へ逃げたのだと思うが、そこが最高戦力のいる所だったのだろう。運が悪いというか、因果応報だな。


「さっき一緒に、焼き尽くしとけばよかったです」


 僕もアイに若干同意する。だが、今まで、あいつらには散々な目に遭わされてきたが、殺したいって思うほどではないな。


 近づくと、アイが識別できなかったのがよく解る。4人ともかなり殴られたのだろう。面影がないくらいに顔が変形している。可哀想なのだが、ついつい笑いそうになってしまう。特にザナドゥがひどい、最早別人だ。


「こいつらのいのちがおしけれぼ、ぶきをすてるだろう」


 神輿に乗ったゴブリンの王様が大声で叫ぶ。流暢に喋ってるが、なんか微妙に言ってる事が愉快だ。


「ぶきをすてないだろう!」


 僕はゴブリン王語で返答してみた。


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