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 メインウェポン(続続続)


「さすがね、ザップ。問答無用で大当たり引いたわね」


 ジブルが僕のそばでぴょんぴょん跳び跳ねる。そんなに僕に下痢して欲しいのか?


 僕は手にした武器を見る。漆黒のボディで柄の先には大っきな四角い金属の塊がついていて、全ての面に1本づつ大きな刺がついている。ハンマーだ。僕の使い慣れた種類の武器だ。ミノタウロスのハンマーに比べたらかなり軽い。一般人でも持てるだろう。


「それは『瘴気の金槌』。その金槌を振るうと瘴気を撒き散らすと言われてるわ。まぁ、資格が無い者が触れると違うものも撒き散らすらしいけど」


 ジブルがキラキラした目で僕を見ている。何を期待してるのだろうか?ハンマーの使い心地を試してみたくなるが、刺でツンツンするだけで我慢してやる。


「いやっ、くすぐったい。だめっ。止めて、ザップ」


 ジブルなのになんか色っぽい声を出すので何とも言えない空気が流れたので止める事にする。


『ご主人様、そこのホップ族に呪いを発動しますか?』


 ん、頭の中にまたイケボが……


 ハンマーの声なのか?


 ジブルをいじるのに夢中で忘れていた。


 呪いを発動とか言ってるが、おそらく下痢の呪いだろう。さすがにジブルが可哀相なので止めて置く。


『ザップ、オレ様を収納から出せ!そんなきっしょいハンマーたたっ切ってやる!』


 頭の中に勇者の剣の声がする。なんか面白くなりそうなので、出してやる。今僕は右手に魔王武器、左手に勇者武器を手にしている。


 最強の荷物持ち勇者魔王ザップ誕生だ!


『ご主人様、この品の無い駄剣、叩き折ってもよろしいですか?』


「まてまて、同じ武器同士だろ、もっと話し合ってみろよ」 


『ザップ、魔王武器なんて捨てちまえ、瘴気なんて撒き散らしたら、正気を疑われるぞ!』


「おい、剣、瘴気と正気をかけたのかもしれんが、全く微塵もおもろくないぞ…」


「ザップ……大丈夫?疲れてるのね………お家に帰ろっか?」


 マイが悲しそうな顔で僕を見ている。んこいつらの声が聞こえないのか?


「おい、マイ、俺を憐れむな。この武器達喋るんだよ、しかもかなり流暢に」


「ご主人様、何言ってるんですか?武器が話す訳ないでしょ、寂しいなら言って下さい。私で良ければいつでも話し相手になってあげますよ」


 アンが澄んだ目で僕を見つめる。いかん、これじゃめっちゃ痛い奴じゃないか!


「おいジブル、お前の魔法でなんとかならないのか?こいつらが喋る事を証明してくれ」


「ザップ、してくれじゃなくて、して下さいでしょ」


 ジブルがあごを突き出して僕を見る。なんかムカつくがやむなし。


「ジブル様、証明して下さい」


 屈辱だが頭を下げる。


「しょうが無いわね。大魔道士ジブル様が取っておきの魔法を見せたげるわ。精神感応系の最高魔法。魔法は純度を上げて凝縮したらやがて世界に至る」


「ジブル、高度な魔道理論はこの脳筋さん達には理解出来ないとおもうからちゃっちゃといきましよう」


 マイがジブルの長話を止めてくれた。ありがとう。けど、脳筋って軽くディスだよな。


「解ったわ、マイさん私の手を、アンさんマイさんの手を。では行きます!」


 ジブルの小さな手が僕の胸に触れる。


「心よ世界よ1つに成れ!『垣根の無い世界(シームレス・ワールド)』!」


 ジブルの声が響き、辺りが真っ白な光りに包まれた。

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