不思議な朝
すみません、時間なかったです。
「おはよう、ザップ」
ぼくが目を覚ますと、部屋の入り口にはマイが立っている。その猫耳は機嫌良さそうにピコピコしている。
「なんだ、マイ、どうしたんだ?」
だいたい僕が起きた時にはマイは朝ごはんの準備をしている。僕がご飯を作ろうとすると、決まってマイはこう言う。
『あたしが好きでやってるから気にしないでいいよ』
とても有難いが、悪いので、たまには僕も早起きしてご飯を作ろうと思う。
それはそうと、マイは微笑むだけで何も答えない。
そして俯くと、頭に両手を当てて何かを外す。細いカチューシャみたいなものに、耳がついてる。
え、マイの耳って作り物だったのか?
マイが顔を上げる。けど、その顔はマイ姉様ではなく、良く見知った顔、僕の妹だった。確か、妹は帝国の都のメトロポリタン学院の学生寮にいるはず。あ、そうか今は夏休みのはずだ。けど、なんで妹がマイ?
「どういう事だ?」
「どうしたのザップ?」
遠くから声がする。
僕はガバッとベッドから身を起こす。
あ、夢だったのか。なんか変な夢だったな。
「ザップ、寝言言ってたわよ。起きるの遅いから起こしに来たわ」
「おはよう、ありがとう」
うん、マイだ。確かにマイだ。猫耳も健在だ。
「ザップ、素振りに行くわよ」
もしかして、妹が来るのか?なんか違和感を感じながら、顔を洗って、日課のハンマーの素振りの為に外に向かった。