魔道具を買いに
ここしばらく忙しくて、話が短くなると思います。休み無いんですよ(T_T)
「まじか……嘘だろ……」
僕は陳列してある腕輪の金額を見て絶句した。
腕輪の能書きには『経験値取得+10%』と書いてあり、その値段は大金貨100枚、チンケな家なら余裕で建つ。
「ちなみにお姉さん、俺の持ってるハンマーには+30%に自動修復が付いているんだけど、もしそれがここで売られるなら幾らくらいなんだ?」
僕は眼鏡にピシッとした格好をしてるここの店員さんに聞いてみる。
「何をおつしゃられているんですか、そんな物があるはず無いじゃないですか」
お姉さんは眼鏡をずり上げて僕に笑いかける。む、信じて無いな。
「お姉さん、鑑定は使えるんだろ。これ見てくれよ」
「えっ、収納魔法?」
お姉さんはびっくりしつつも僕の出したハンマーを見つめる。
「ミノタウロス王のハンマー+3、取得経験値30%アップ、自己復元……」
お姉さんは目を見開く。
「自己復元……初めて見ました。自己修復の上位スキルですよ、自己修復は徐々に元通りになるのですが、これはしばらくしたら元に戻る能力みたいですね……しかも+3、しかも経験値30%アップ………」
お姉さんは腕を組んで、むぅむぅ言い始める。
「お客様、これは普通には存在しないものです。祝福で威力、命中率などが上がっているものには+数値がつきますが、これの最大値が+3です。これ以上の数値がついているのは伝説の武器と呼ばれているものしかないです。しかもそれに2つもスキルが付いているものなんてほぼ存在しないです。経験値取得アップの数値が30%もあるものは話にも聞いた事がないです。その武器には値段はつけられません」
そうか、もしかして僕はとても幸運だったのか……
まさかこいつがそんなに凄い物だとは思わなかった。大事にしようと思う。今日帰ったらいっぱい磨こう。
けど、今日ここに来たのは、マイが欲しいって言ってた成長補正がある魔道具を買うためなのだが、どうも見たところ+10しかないみたいだ。
「これ以上の成長補正がついた魔道具ってどうやったら手に入るか知らないか?」
僕はお姉さんに小金貨1枚握らせる。クールなお姉さんの頬に朱がさす。
「そうですね、余り有益な話では無いかもしれませんが、その手の魔道具は皆さん手放さないものだと思いますよ。お客様もそのハンマーを売る気は無いでしょう。ですから、魔道具が出やすい迷宮でドロップするまで待つしか無いと思いますよ」
「ありがとう。邪魔したな」
僕はそう言い残し店を後にした。今日はほぼ空振りに近いが、僕のハンマーの貴重さに気づく事が出来た。自然と頬が緩む。帰ったら愛おしいハンマーをトコトン磨いてやろうと思いながら帰途についた。