臨海都市シートルのギルド
僕達は今、臨海都市シートルの冒険者ギルドにいる。王都のギルドとの1番の違いは金属鎧を纏っている者がほぼ居ない。かろうじて北の魔王リナ以外で初めて見る、ビキニアーマーのお姉さんがいるのみだ。冒険者達も露出が多い者が多く、上半身剥き出しのごついおっさんや、ヘソ出している女の子など、なんて言うか南の国だなぁって少し感動。今日もサングラス装備なので女性をガン見し放題だ。
冒険者達が持ってる武器も、カットラスやシミターなどの片手持ちの曲刀や、大きいものでフランベルジュ、波打った刃の剣や、槍や三叉の槍など、冒険者というより海賊っぽい人が多い。
僕達がその海賊ギルド、もとい冒険者ギルドで何をしてるかって言うと、僕達が来た王都の方では海鮮系が高く売れる。それなら、逆に臨海都市では王都にある何が高く売れるのかギルドの職員と話をしている所だ。
けど、残念ながらほとんど全てのものの買い取り価格は王都より若干安い。強いて言うなら肉系は少し高いけど誤差の範囲内だ。当てが外れた。海から何か持って行って王都で買い取って貰ったあと、逆に王都から臨海都市に高く売れるものを持って来て売れば更に効率良く稼げると思ったんだが。
ここに来るまで、露店とかもチラ見しながら来たが、全体的に物価が安いようだ。食べ物しかり、生活雑貨や武器防具もしかり、けど、多分観光客向けの海グッズやお土産屋などは比較的に値段が高いようだ。観光地価格なのだろう。
ギルドの依頼を貼り出している掲示板を見るが大した依頼が無い。採取系や海の監視員や海の家の雑用など残っているのは冒険者というよりも何でも屋の仕事ばかりだ。
ここら辺には迷宮は無いのだろうか?せっかくだから海を感じる事ができる迷宮があれば挑戦したいと思ってたんだが。
「誰かここら辺にある迷宮について知ってる者はいないか?」
僕は掲示板の前に立ち小金貨1枚親指と人差し指で挟んで掲げる。
「兄さん、景気がいいみたいだな」
即座にヒゲもじゃの筋骨隆々の男が僕の前に進んで来た。ほう、こいつは強そうだな。
僕はその男からここら辺で最高難易度の『海淵の迷宮』という所について教えて貰った。その迷宮は、入り江の真ん中の海の底にあって、行くだけでも手がかかるし、帰りも泳がないとならない故に戦利品の持ち出しも苦労するので、最近は訪れる者も少ないという。男はバルガンという名で普段は漁師も兼業していて、迷宮に行きたいなら船で運んでくれるという。まあ、しばらくは王都と往復して資金と装備の充実を図る予定なので、気が向いたら行ってみるのもいいかもしれない。決して海の底にあるっていう事に怯んだ訳では無い。
僕達はバルガンに別れを告げるとギルドを後にした。