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 水中戦


 僕は目の前の巨大な生物と対峙している。つるっとした体に細長い首、銀色の鱗に覆われていて全体的にフォームがぬるっとしている。巨大なナマズや山椒魚に見えない事もない。けど、僕の中ではこいつは穴子だ。小骨がない食べやすい穴子だ。


 稼いだお金をほとんど武器に費やしてしまったので、僕達は荒稼ぎするためにまた件のビーチを訪れた。前同様に巨大渡り蟹を狩り続けていたら奴は現れた。メンバーは僕、マイ、ドラゴン形態のアン、それに水中呼吸要員の導師ジブルだ。


 水竜に遭遇するなり、打ち合わせ通りアンはジブルを背に離脱した。勝負時間は10分、10分後に再び合流予定だ。


 今日はマイと2人一組ツーマンセルスタイル。とても久しぶりの気がする。

 僕はマイに振り返り頷く。マイも僕に返す。オペレーションスタートだ。


槍王やりおう!』


 僕は水中であることを忘れて叫ぶ。ゴボゴボ言うだけだ。けど、新たな必殺技のこけら落としだ。協議の結果、『槍襖の王』は言いにくいという事で、『槍王』というシンプルな名前に落ち着いた。

 僕の回りに収納の魔法陣が浮かび、それから勢いよく槍が飛びだす。

 うん、いい感じだ。槍は剣と違って水の抵抗が少なく、水竜にガツガツ刺さっていく。そして暗い海が朱に染まる。

 これだけで水竜を倒せそうだが、あくまでもこれは前座、とどめは僕達で刺してやる。

 僕は右手を上げる。突撃の合図だ。


 僕の後ろから黒い影が飛びだす。デスサイズを構えたマイだ。練習の末、マイはポータルを2つ遠隔で使えるようになった。そのポータルを腹と背にくっつけて、前から海水を吸い、後ろから出すことで、水中での高速移動が可能になった。練習中に水圧で水着が取れるという嬉しいハプニングがあったおかげで、残念な事に今はワンピースタイプの水着を着ている。しかも悲しい事に、マイの水着が取れたときは僕に背を向けていたので見えなかった。

 マイが水竜の右上方に飛びだすが、水竜は動かない。その体が光り出す。


 来るか?


 果たして電撃だった。辺りを光りが踊り回る。やはりかわせない。僕とマイは耐性を手に入れてるがそれでもきつい。アンたちを逃がして良かった。


『ウオオオオオーッ!』


 僕は声にならない雄叫びを上げる。ポータルを僕から離して、水竜の頭に向けて槍を打ち続ける。目くらましだ。僕はランスを出して高速移動で水竜に迫る。上の方でマイが身を翻すのが目の端に入る。


『ゴゴッ!』


 僕のランスは過たず水竜の心臓と思われる所を貫く。マイを見ると、見事に水竜の首を刈っていた。


 オーバーキルの気もするが、上手く行った。僕はマイの方に向かい、僕達は水中で抱き合って喜んだ。

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