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第四十二話 荷物持ち街に向かう


 僕達は草原で心ゆくまで外の世界の空気を楽しんだあと、話し合った結果、取り敢えず近くの街に向かう事にした。


 ここから南にほぼ真っ直ぐ行くと大きな街につく。王都だ。街のほぼ中央には天を突くような巨大な城があり、その回りを商業施設や住宅地が何重にも囲んでいる。魔物の侵攻を防ぐため、高くて頑強な城壁がそれらを囲んでいる。その街には冒険者ギルドがあり、まずはそこに行きたい。


 歩き始めて気付く。大丈夫だろうか? 

 

 僕は街に入れるのか?


 今の僕の格好は、手入れもせずぼさぼさに伸びた髪と髭、靴は駄目になって捨てたので裸足で、服は謎の毛皮の腰巻きとマント。どこからどう見ても野人、蛮族、そう言う言葉しか当てはまらない。水鏡で自分の姿を見て驚いた程だ。


 ちなみにマイに言われた臭いという言葉には傷ついたので、毎日エリクサー風呂には入るようにした。おかげでお肌はつるつるだ。


 マイの格好はまだましではあるが、なんとも言えない。僕と同じく裸足につぎはぎのシャツとパンツ。僕とお揃いの謎毛皮のマント。僕と違って猫耳で獣人とわかるので、まあ、ワイルドな種族なんだろうで収まるとは思うが。


 比較的ましなのはドラゴンのアイだ。裸足に小ぎれいな緑のワンピースで、目立つのは角が生えてることくらいだ。一番まともなのが魔物のアイというのはおかしな話だ。

 まあ、アイは頭の中はぶっ飛んでるので、それで帳尻が合ってると言えなくはないが。


「城門通れると思うか?」


 二人に問いかける。


「あたしが門番だったらまず通さないわ。特にザップ」


「じょうもんってなんですか? 食べられるのですか?」


 だいたい予想通りの答えが返ってきた。そうだよな、まずはこの格好をどうにかしないと。


「城門は、アイちゃんが本気になれば食べられると思うけど、美味しくないと思うから止めた方がいいわ」


 マイが真顔で答えている。アイなら本気でやりかねないので煽るのは止めて欲しい。


 僕の頭に巨大なドラゴンが城門を囓っている姿が思い浮かぶ。そうなったら街に入る所ではなく、人類の敵認定確定だ。しっかりアイは教育しないとな。


「マイ、ここら辺にどこでもいいから集落はないのか?」


「そうね、少し寄り道になるけど、確か西の方に小さな村があったと思うわ」


「まずはそこに行こう。この格好をどうにかしたい」


「そうね。あたしもこの格好はね……」


 マイは僕を見て苦笑した。僕もマイを見て苦笑する。


 僕達は、まずはマイに誘導してもらい、何か着るものを手に入れるために、その村に向かうことにした。


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