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 かに


 僕達は澄んだ海の底をかにを求めてさすらっている。

 頭の上では海面がキラキラ輝いている。足下は岩場で歩きにくい。上手く海底を蹴って少し浮かんだりしながら前に進む。ふわふわしていて気持ちいい。僕の後ろにはマイ、幼女導師ジブルとドラゴンの化身のアンが付いて来てるはずだ。

 アンはさっきドラゴンになって水着を破いてしまったので、自前の魔法のワンピースを着ている。多分、下着は付けてない。スカートがめくれそうなのでそっちは見ないようにしている。


 岩陰にうずくまる1杯の巨大かに発見!


 僕は振り返り皆に1回頷きゆっくりと進む。むー、この声が出ないっていうのは厄介だな。どうしても意思疎通の齟齬そごが生じる。

 僕はゆっくりとかにに近づいていく。これも不便だ思うように動けない。けど、困った時の僕の収納スキル。四方に光輝く魔法陣、僕の収納ポータルを射出する。これで、水の中だろうが、いや、水の中故に自由に動ける。


 サササッ。


 かに君が横にダッシュしていく。けど、すぐに元いた所に戻ってくる。また逃げる、戻ってくる。逃げる、戻ってくる。そしてかに君は立ち止まる。きっと遠くまで逃げた気分になって満足したのだろう。

 かに君が進むたびにその進行方向と逆の海水をポータルで吸いこむことで、引き戻してやった。

 同じ要領で僕の前の海水を吸いこみ後ろから出して高速でかに君にたどり着く。


 む、どうする?


 瞬時の逡巡がうかつだった。高速で繰り出されたかに君のハサミが僕の足を掴む。


 ピンチ! これはいかん!


 かにの手は美味しいと聞く。破壊せずに振りほどかねば。


 海が揺れる、僕とかに君は流される。流された反対側を見ると巨大なドラゴンがこちらに向かってくる。その大きな顎が目の前に迫る。


 バクン!


 何とか僕は収納で水をコントロールして難を逃れた。目の前では片方の角が折れたドラゴンが目を細めて咀嚼している。

 こいつ、僕ごと食う気まんまんだったな!


『剣の王!』


 心の中で今の僕の流行の必殺技を放つ。


 なにっ!


 ポータルから出た無数の剣はすぐに勢いを失って海底に落ちて行く。

 僕の頭にはこのお馬鹿ドラゴンを戒める方法が思い浮かばない……


 もしかして、海中では僕よりアンの方が強いのでは?


 やむなし!


 僕は大袈裟な笑顔でドラゴンに近づくと優しく頭を撫でてやった。攻撃しようとした事がうやむやに出来ればいいが。こいつは僕が助けてくれてありがとうと思ってると感じてるはずだ。今、こいつに自分の優位性を悟られる訳にはいかない。


 そして僕とアンは、アンがかにを口に咥える。僕がふんどしの上の方に剣を刺ししめるという方法でかにを狩りまくった。どうやら、アンはかにに夢中で僕の事は頭に入らなかったみたいだ。よかった。


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