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 泳げるようになりましょう


「ザップ、まずは息を止めて顔を水につけて」


 僕はマイに言われた通りに海に顔をうずめる。いかん、なんか怖くて目をつむってしまう。恐る恐る目を空けると白いすなの中にマイの足先が見える。僕の足の指が短く横に広いのに比べて、マイの足はシュッとしてて爪は綺麗に切ってあるんだけど縦に爪が長い。素直に綺麗だなと思う。


「ぷふぁ」


 僕は顔をを上げる。今何をしているかというと、泳ぎの練習だ。海に来て既に2回も僕は溺れかけたので、これはいかんとの事で強要されている。二度目は下手したら死ぬ所だったので何とも言えない。


 先程まで、僕の全て力を駆使してビーチを整備した。収納から出したメテオ・ストライクの魔法で入り江と化したビーチもポータルから砂を大量に出し入れして、なんとか最初の形に戻ったと思う。少し景色が変わった気もするが、気にしたら負けだ。


 マイに両手を引かれて浮かぶ練習をする。マイの手は思ったより柔らかい。海の中で目を空けると、マイの腰から下が見える。おへそやパンツすらっとした白い足が目に入る。上の方が見えないので、なんかドキドキする。波に揺られるたびにヒヤッとする。けど、なんかふわふわして気持ちいい。マイの手を握っているので安心する。ずっとこうしてたい気もするが、息が切れ僕は顔を上げる。マイの上半身が今度は目に入る。マイの猫耳がピコピコッと動く。


「ププッ!」


 マイが手を離し噴き出す。


「なんだ?」


「ザップ、鼻水出てる」


 顔に手を触れるとトロっとしたものが……


 砂の上に立ち、大急ぎで顔を拭う。


 砂浜の方では泳いでいる連中以外みんなが僕をガン見している。ああ、だから隠れて練習したかったんだ。魔王とも称される僕が泳げないっていうのは格好悪すぎる。


「おい、俺だって生き物だから鼻水の1つや2つくらい垂れるわ!」


 なんかイラッとするので、とりあえず一喝してやる。


「ご主人様、鼻水垂れ流しながら言ってもなんの威厳もありませんよ、いつもハンマーを愛用してるだけあって『かなづち』なんですね!」


 アンが意地悪い顔して煽ってくる。アンのくせになんか気の利いた事を言いやがって。奴はさっき魔法のあおりを食らった事をまだ根にもってやがる。回りの皆も失笑している。く、悔しい!


「ふん、いい気になってられるのもここまでだ!」


 僕は辺り一面にポータルを飛ばし砂浜をならして、かなり遠くの所まで海の水位を僕の腰より下くらいにしてやった。これで溺れる事は無い!


「はっはー! ここら一帯、俺の足がつくようにしてやった! これで『かなづち』でも溺れる事は無い!」


 僕を見つめる皆の目が点になっている。


 これで、僕が最強の荷物持ちザップ・グッドフェローである事を思い出した事だろう!


「あのね……」


 マイが僕の前に立ってじっと目を見つめてくる。


「海ってね、海水が潮の満ち引きで上下するのよ。またここは深くなるわ」


「え、そうなの」


「そうよ、はい、泳ぎの練習再開!」


 かくして僕は晒し者感丸出しで、マイと泳ぎの練習をした……



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