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 海海海海!

 時間ないですー。


「ザップ、少し泳いでくるけど、ザップも泳ぎの練習しない?」


 マイに手を引かれてばちゃばちゃする僕の絵が頭に浮かぶ。少しそれもいいかなと思うが、恥ずかしいので止めた。マンツーの時にお願いしたい。


「俺の事は気にするな、泳いでこいよ」


 僕は身を起こしてカクテルを口にする。


「ふうん、そっか」


 少し残念そうにすると、マイはアンの手を引いて海に向かった。


 遠くでは魔王リナと人魚ナディアと、戦士デュパンと黒マッチョのレリーフが止めどなく泳いでいる。何が楽しいのだろうか? 特にレリーフはバタフライとかいうなんか水上を飛び跳ねるような泳ぎ方で気持ち悪い。バタフライという泳ぎ方が気持ち悪いのではなく、黒マッチョが水から出たり入ったりしてるのが気持ち悪い。


 マイとアンも遠くへ泳いで行く。マイはクロールという、スマートな水を掻く泳ぎ方で、アンは前に手を伸ばして足をバタバタする泳ぎ方だ。アンのような泳ぎ方なら真似出来そうだが、エレガントでないので止めとこう。

 ちなみに、ラパンとシャリーとジニーはここら辺の探検に、アンジュたち少女冒険者4人は街に食材の買い出しに行っている。骨と妖精もどっかに行ったみたいだ。

 今ここにいるのは、僕と泳いでいる連中だけだ。


 そう言えば、今は海のシーズン真っ盛りのはずなのに、何でこんな素晴らしビーチに人がいないのだろう。ここはなんか出るのでは? 小説とかではイカの化け物のクラーケンやクトゥルフとかがこういう時は出て来て、触手で女性をからめとるえちぃシーンとかがあるものだけど、まさかそんな事はないだろう。

 ん、遠くにドラゴンが見える。1本角が折れてる。あ、アンだな。なにドラゴンに戻ってるんだ?


 え、触手?


 レリーフとデュパンが鬼のような速さでこちらに泳いで来る。全力疾走のバタフライってほぼ水上を跳ねてるみたいだ。


「ザップさん! クラーケンです! クラーケンがアンさんを襲ってます!」


 アンの隣にでっかいイカの頭が浮き出る。やべぇ、アンより数倍デカいぞ。海って恐ろしいな……


 クラーケンってゆーても、僕泳げないんですけど、僕にはイカとドラゴンが戯れるのを見守る事しか出来ない。あばよアン……


「ザップ! あたしじゃ無理、水の中じゃ戦えないわ」


 マイが海から上がり駆け寄ってくる。


 マイが言うなら仕方ないな、うちの食費が安くなると思ったが、しょうがない。食いしん坊ドラゴンを助けてやるか。

 まあ、ドラゴンだから死にはしないだろう。


 僕は波打ち際に立ち、1つのポータルをイカとドラゴンの真上に放つ。


「メテオ・ストライク!」


 僕は振り上げた手を大きく振り下ろす。まぁ、実際は収納に入れている魔法を解放しただけなのだが。


 ゴゴゴゴゴォッ!


 ポータルから発生した巨大な燃え盛る岩、隕石がドラゴンの隣に浮上してきたイカの頭に突き刺さる。


 バシャーツ!


 隕石の勢いはとどまらず、海に大きな穴を穿ち、海水もろともドラゴンとイカの欠片を吹っ飛ばす。海水が雨のように降り注ぐ中、僕の方に大きな波が!


 ぐぼぼぼはぼっ!


 僕は波に攫われて塩っ辛い水をしこたま飲む。しばらくもみくちゃにされ、訳が分からない状態の中、誰かが僕の腕を掴む。


「大丈夫ザップ」


 マイだ、マイに助けられてなんとか海から脱出した。


 やり過ぎた……


 目の前には大きな入り江が出来ていた。


 因みにドラゴンも無事ではあった。

 

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