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第四十一話 荷物持ち帰る


「ていやぁっ!」


 マイとミノタウロス王が交錯する。


 ゴツッ!


 ミノタウロス王の首が地面に落ちて鈍い音がする。僕はマイから目を離せない。その凛としたマイの姿につい見とれてしまう。


「キャーッ! やったわー!」


 マイが喜んでぴょんぴょん跳ねている。胸がぶるんぶるんゆれている。あまり目をやらないようにしよう。


 これで僕達全員ミノタウロス王を単独で倒す事に成功した。


 まずは本人の希望でアイが人間スタイルで単独討伐を成功させた。その後は僕で、今がマイだ。もはやこの迷宮で僕らに敵うものはいない、今はもうここでは、僕達を傷つける事が出来るものはいないだろう。


 あの後から僕らは戦い漬けの生活を続けた。基本的にとどめは僕のハンマーを使う事にして、少しでもレベルアップの効率をあげた。弱い魔物と戦うときには、もし何か有ったときのために、メイン武器以外の武器を扱う練習もした。魔物を倒して再び発生するのを待つ間は、仲間間の実戦トレーニングに費やした。


 強くなるに従って一番変わったのが僕達の体型だ。僕はさらに細身の筋肉質に、マイとアイはもともとスタイルは悪く無かったが、無駄な肉が落ちて、何というかすごくめりはりのついた体型になってきた。もっとも顔は相変わらず童顔だけど。とても魅力的で気を抜くとさっきみたいに見とれてしまうことも……


 ドロップアイテムは相変わらずポーションのみで、銀はその場で飲んで、金はみんなで協議して飲んだ。スキルは炎熱耐性とか、知力増強とかの耐性系と強化系のものばかりで面白いものは無かった。


 収納の中はおびただしい数の素材とミノタウロスとリザードマンの武器、まるまるのヘルハウンドと加工したその肉、青と赤のポーション、ヘルハウンドブレスとケルベロスブレス、アシッドウォーターとポイズンブレスが少々、エリクサーとドラゴンブレスが十分以上入っている。万全だ!


 これで当面の目標はクリアしたので、地上に戻る事にした。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「うわ! お日様の光、眩しいわ、ほんっとうに久し振りだわ!」


 マイが目の上に手でひさしをつくって空を眺める。


「何言ってるんですか、私なんてどれだけ地下にいた事か、気分は土竜もぐらですよ!」


 アイは手で目を押さえている。ずっと穴蔵にいた土竜もぐらには眩し過ぎるのだろう。


 僕も顔を左手で覆いその隙間から空を眺める。青空に浮かぶ雲がとても綺麗だ。生まれて初めてそう思った気がする。


 僕達は、危険があり得る地下30層までは戦いながら登り、それより上の層は何も考えずに駆け抜けた。

 マイがリュックに地図を持ってたので、マイを先頭に、たまに間違って遠回りしたりしながら。

 魔物や冒険者は全て無視して突っ走った。それほどに僕達は地上に焦がれていた。


 そして、迷宮入り口の大洞窟通路を冒険者達の横をすり抜けて通り、憧れの日の光の下に出た。


 僕達はしばらくして日の光に慣れて、そばの草原に体を投げ出し寝っ転がった。

 

 まだ実際、僕は何も成し遂げてないけど、迷宮から生還出来た事でとても充実感に包まれていた。


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