海
誰か、私も海につれてって欲しいです。
今僕は天国にいる。天国と言っても死んだ訳じゃない。僕の目の前に広がってる世界、それがまごうことなき天国だ。
目の前に広がる白い砂浜、雲1つ無い抜けるような青空。空っていうものは、いる場所で色が違うんだな…
今僕が住んでる街や特に王都は曇っていることが多く、晴れていてもなんというか、少し紫がかった青空が広がってるが、今僕達を包み込んでいる青空は青い。濃い青色なんだ。
まあ、けど、素晴らしい青空だけど、僕にとっては脇役でしかない。砂浜に打ち寄せる波。本で知識として知っていたが、海って本当に水が動くという事に感動した。その海はなだらかに波打ちながら、どこまでも青く、とても澄んだ水を湛えている。まるで、湧水池のように澄んでいて遠くで泳いでいる者の影が海の底に映っている。
確か、10日位前だろうか? 北の魔王を称する露出過多の少女リナに不本意ながら僕は頭を下げた。
「俺を海に連れて行ってくれ! 旅するのは面倒くさいからワープポータルを繋いでくれ!」
「まぁ、ザップの願いなら聞いてやらん事もないが、相応の報酬は貰うぞ。空間直結はわらわにとって容易い事ではあるのだが、あれを固定化するにはかなり高価な触媒がいる」
リナはそう言ってるが、結構バカスカいろんな所にワープポータルを設置してる気もするが?
「それに、わらわは今所用で国を動けんから誰か派遣する事になるが、その者の報酬も払ってもらうぞ」
「ああ、いいだろう。その代わり、あまり高額になるようだったら分割で頼む」
リナが提示した金額は払えない金額では無かったが、払ったら困窮確定な額だったので分割をお願いした。
リナは四天王の内の1人、歌う人魚のナディアを派遣した。やっと一昨日、いいビーチが見つかったとの連絡が来た。海なら何処でもよかったのだが、いつの間にかビーチになっていた。けど、それは大正解だった。
そして、昨日ビーチのそばにポータルを繋ぐついでに、リナがポータルを繋いだ東方諸国連合の都市国家の内の1つ『臨海都市シートル』に僕達は向かい、水着を含む水遊びセットを凄まじい数購入した。
この時気が付くと僕達は大所帯になっていた。僕、マイ、アン、それに少女冒険者4人、ここまでは想定内だ。それにデュパン率いる『地獄の愚者』のパーティー4人、僕の妹分のラパンに元大神官シャリー、北の魔王リナとその部下の人魚ナディアと猫のモフちゃん。まあ、要はみんな海に憧れてたんだな。女子達が服などを選んでいる間、僕は戦士のデュパンとマッスルのレリーフとカフェテラスで軽く飲みながら待っていた。まあ、そうなる気がしたが、買い物は地獄のように長く、日が暮れるまで続き、今日ビーチに来る事になった次第だ。
僕はビーチパラソルの下、リクライニングのビーチチェアに寝転がってモヒートを口にする。モヒート、それはクラッシュした氷にラム酒をいれ、ミントをしこたまいれ炭酸水を注いだもので、マドラーで少しづつミントを潰しながらゆっくり飲む海に相応しい爽快なカクテルだ。
そして、僕はマイを見る。セパレートの白い水着を着ていて手足はすらっとしているのに、僕が思っていたよりも胸が大きい。やばい、まじ女神だ。
マイは波打ち際でアンに水をかけて遊んでいる。弾みで胸がこぼれたりしないかななど不埒な事を考えてしまう。
アンもはしゃぎながらマイに水をかけてる。こいつも生意気に緑色のセパレートのフリフリのついた水着など纏っている。けしからん事にコイツも結構胸がデカイ。ううん、いい!
今日はガン見し放題だ。何故なら僕は街でサングラスなる神アイテムを手に入れた。こいつを付けると何処見てるのか他人様からは分からないはずだ!
他のみんなも素晴らしいが、僕はマイの尊さと、アンの可愛らしさを堪能した。
ビーチ最高!