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 山篭もり

 最後数行抜けてました。<(_ _)>


「2足歩行というのは、とても不自然なものです」


 只今、デル先生の合同格闘技講座好評開催中だ。いつメンの僕、マイ、アン、ムキムキマッチョ黒エルフのレリーフに、レリーフのパーティーメンバーの少年戦士デュパンと聖戦士のジニー、吟遊詩人のパムの総勢7名が講座を受けている。

 あと、ホルスタイン柄の猫のモフちゃんが木の上から気怠そうに僕達を眺めている。

 今僕達がいるのは王都から離れた山奥の炭酸水が湧き出る井戸の近くだ。ここら辺をしばらく避暑地として活用する事にして、机と椅子や買ってきたハンモックを吊したりなどしてた時に、昨日団体の来訪者が来た。エルフの一団でここの管理者だと名乗った。交渉の末、ここの利用許可を貰うが、その条件として山に巣くっている魔物の間引きを頼まれた。別に殲滅してもいいらしい。

 下級の魔物をただ倒すだけでは面白くも何とも無い。それで最近修行中の格闘の練習に利用する事にして、マイがレリーフを呼んで、レリーフが仲間達を呼んだという次第だ。僕達とは別にレリーフ達のパーティーもデル先生の格闘技講座を受けてるそうで、なし崩しに合同訓練となった。

 今日の予定は合同訓練の後、山篭もりという名の素手による魔物狩りを行う。

 デル先生も含め僕達みんな道着を着ており、レリーフのパーティーメンバーはみんな白い道着に茶色い帯だ。ちなみに僕は赤と白のストラップ、マイはピンク、アンは水玉。僕らより彼らの方が数段強そうに見える。コモンセンスは大事だな。


「この世に存在する生き物で、2足歩行するのは、ほぼ人種の生き物だけです。ほとんどの動物は4足歩行ですし、昆虫に至っては6足歩行です」


 デルが僕達を見渡しながら滔々と話す。


「何がいいたいかと言うと、例えばハサミを開いて固い所に立てようとしても前か後ろに倒れます。私達も同様で、開いた足かに垂直に前と後ろの力にはとても弱いです。相手のバランスを崩す時に気をつけるのはこの点です。相手を投げる時にこの点に気をつけるとより少ない力で投げる事が出来ます」


 デルが目配せをするとレリーフが前に出る。


 デルはレリーフの腹に一撃加える。容赦が全く無い。くの字に折れたレリーフの手を引き頭を下に押し込むとレリーフは簡単にその場で宙返りした。なんか演劇の格闘シーンを見てるみたいだ。八百長じゃなくても人って舞うものなんだな。レリーフは背中を打ち付けて動かなくなる。


「デュパン、前に」


「えっ、俺?」


 キョドリながらも前に出たデュパンにデルはストレートを放つと見せかけてサイドステップでデュパンの横に回り、デュパンの胸ぐらを掴んで右足でデュパンの右足を刈る。デュパンはくるりとバク宙をするみたいに回り大地に叩きつけられる。


 誰も一言も話さない。余りにも綺麗に人が舞うのに僕は見とれていた。


 デルはレリーフ、デュパンの順に手を引いて優しく起き上がらせる。けど彼らのデルを見る目は猛獣を見てるかのようだ。


「『引き落とし』と『大外刈り』です。相手が空中にいる時に少し力を加えるだけで、簡単に今みたいに回ります。ではこれから練習です。相手を頭から落とさないようにしてください。始め!」


 パン!


 デルが柏手を打ち、僕達は練習を始める。ラッキーな事に男4人、女子3人だったので、デルは女子に稽古を付けている。


「きゃーっ!」


 ジニーの叫びを聞きながら僕達は練習を繰り広げた。


「それでは、スタート!」


 デルの声が響く。


 しばらく練習したあと、7人の見習い格闘家は獲物を求めて森に飛び込んだ。


 レリーフ達のパーティーにも当日限りタブレットとスマホを渡して魔法の収納を使わせて、日暮れにはみんな集合した。


 意外にもエースはパムで、格闘以前に索敵の能力の偉大さを僕達は実感した。なんか悔しい。


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