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第四十話 荷物持ち理不尽を感じる


「お前達、なにしてるんだ? 地上に戻ったんじゃなかったのか?」


 なんでこいつらここにいるんだ?何してるんだ? 訳が解らない。


「ザップ、好きにしろっていったわよね、あたしたちは好きにしてるのよ!」


「はい、好きにさせていただいてます!」


 言ってる事の意味が解らない。迷宮の不自由で気の休まる事がない暮らしが好きな者がいる訳がない。


「どういう事だ?」


「えー、まだ解らないの? あたしたちもザップと一緒に強くなりたいって事よ!」


「そうです、ご主人様と一緒にいたいのです!」


 僕と一緒にいたい?


 そんなはずがない。


「なんでだ? 俺と一緒にいても何一ついいことないぞ!」 


「ザップ、あたしはあなたといて良い事しかないわ! あなたと会えなかったら、もう死んでたと思うし、そうじゃなかったとしても、ただの荷物持ちで何の力も無かったと思うわ」


「ご主人様、私もそうですよ、ご主人様に会わなかったら未だに動物のままかそうじゃなかったら誰かに討伐されてるか餓死してますよ!」


 それがどうしたというのだ? 僕には関係ない。


「何を言ってる? 僕は何もしてない。マイと出会ったのだってたまたまだし、アイを助けたのだって自分のためだ。それに僕は何も出来ないし、パーティーに捨てられたような役立たずだ!それに一緒にいたとしても、辛くて危険な事しかないぞ!」


 僕は誰とも一緒にいたくない。また、捨てられるのがおちだ。


「そうね……」


 マイは僕の目をじっと見る。


「ザップは格好わるいし、気持ち悪いし、汚いし、臭いし、パンツはいてないし、乱暴だし、がさつだし、鈍感だし、言ってる事訳わかんないし、思いつくだけでも全くいい所ないわ! 一緒にいてもいいこと無いかもしれないし、下手したら死んでしまうかもしれないわ!」


 思い当たる事しかないが、こうも言われるとすこしへこむ。マイにはこう思われてたのか。


「そうだ、その通りだ……スープありがとう」


 僕はカップをマイに返し、二人に背を向けて立ち去ろうとする。


 これで本当にお別れだ……


 ガシッ!


 背中に何かがぶつかってくる。誰かが負ぶさるように僕の首に両手をまわしてくる。たたらを踏んで転びそうになるが、何とかこらえる。


「けどね、そんなことどうでもいいわ! あたしはザップについていく。逃げられてもついていく。あたしがそうしたいから!」


 マイが僕の背中の上で語りかける。マイの言うことは本当に訳が解らない。理不尽極まりない。


「マイ姉様、離れて下さい! ご主人様が固まってますよ! と言うわけで、私もついて行きたいからついて行く事にしました。地の果てまででもついて行きます。逃がしませんよ!」


 僕は少しマイの温もりを感じたあと、引き離す。


「勝手な奴らだな! 好きにしろ……」


 僕は座ってスープのおかわりをもらう。


 本当に勝手な奴らだけど、悪くないなと思った。




 新作始めました。すこしエッチです。よろしくお願いします。


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