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 森人格闘技奥義

 知識が力になる、デル先生の格闘技講座ですが、今日は危険な技です。ダイナマイトとノーベルの話ではないですが、私は格闘技は全て危険を伴って使うもの次第だと思ってます。


「今日は簡単だけど危険な技の練習をしようと思います」


 エルフの麗人デルが今日はミネアを連れてきている。

 ミネアは、蝶のような羽根を強い日差しでキラキラさせながらデルの横にふよふよ浮かんでいる。


「今日はデルたっての願いであたしが手伝ってあげるんだからね!ビシッとするのよビシッと!」


 ミネアもデルと同じく前で閉じて帯で締めるタイプの服、道着を着込んでいる。帯は白だ。なんか偉そうに仕切っているがこいつは何の役に立つのだろうか?


 今日のメンバーは僕、マイ、ドラゴンの化身アンと、ガリガリなダークエルフだったが今はムキムキすぎるレリーフだ。

 なんか気持ち悪いのは僕以外みんな道着を着ている事だ。マイの帯はピンク、アンの帯は白地に水色の水玉模様。なんか勘違いはいっているような気がする。けど、2人ともなんでも似合うな。言わないけど可愛いと思った。

 レリーフに至っては黒い道着に赤の帯だ。なんか悔しいけどレリーフは格好いい。強そうだ。


「まずその前にちょっとした事ですが、東方では格闘の技術が上がり一人前と認められたら師から黒色の帯が渡されます。一応その慣習に従って皆さんの分の黒帯も用意してあります。ザップ兄様以外はもうそろそろ黒帯を渡してもいいと思っているのでよろしくお願いします」


 何っ、なぜ僕だけ、と言っても妥当な所だ。他の3人はみるみる技を吸収していくがいかんせん僕は不器用だ。諦めて練習あるのみだ…


「ええっ、せっかくピンク可愛いと思ったのに…」


 マイがショックを受けている。


「まぁ、ピンクでも悪く無いと思いますが、私は格闘技の桃帯ですって言ってもなんか強く無さそうじゃないですか?」


 デルが思いっきり気を遣っている。


「アン、お前、水玉はあんまりだろ、私は格闘技の水玉帯ですなんて言ってみろ、それにその格好でほかの格闘技道場とかに行ってみろ、頭大丈夫かって思われるぞ」


 僕はアンの水玉帯を触ってみる。見れば見るほど素っ頓狂だな。


「何言ってるんですか?ご主人様なんてそもそも道着すら着てないじゃないですか?」


「はん、道着?俺がそんなだっせーもの着るわけないだろ」


 あ、少し言い過ぎたか、デルの顔が少し曇った。


「はいはい、そう言うと思ってザップの分も用意してるわ。アンちゃん、ザップすねてんのよ自分だけ普段着だったから」


「あ、そうなんですね、相変わらず子供ですね」


「おいおい、俺の話を聞け」


「はいはい」


 マイはそう言うとタブレットを出し、収納の力で僕の服を入れ替えた。僕は赤と白のストラップの帯だった…さらし者か?


「…黒の道着に黒の帯は似合わないですよね…」


 レリーフがぼそりと呟いた。


「それでは気分を切り替えて行きますね。レリーフ、前に」


「おす!」


 レリーフが前に出てデルの前に立つ。


 ゆっくりとデルはレリーフの胸の辺りに左手をあてる。


 ドサッ!


 デルが少しレリーフを押したかと思ったら、レリーフはそのまま後ろに倒れる。


 え、何したんだ?


「癒しの妖精登場!」


 ミネアがタブレットを使って、収納からエリクサーを出してレリーフにかける。そっか回復要員か。


 レリーフが頭を振って立ち上がる。その顔は怪訝そうだ。何が起こったかわかってないみたいだ。


「今のは森人格闘技の外法、壇中殺だんちゅうさつです。体の真ん中の胸骨の下の窪んだ所に親指を差し込み、直接心臓にダメージを与える技です。注意するべきなのは力は要らないのですが、親指を突き指する可能性があるという事です。それと最も大事な事は、これはもはや格闘技じゃなくて殺人術です。相手の心臓を止める可能性があります。自分に命の危険が迫っている時など正当防衛が成立する時以外は絶対に人に使わないようにお願いします。なんで教えたかと言いますと、私達、武に生きるものはどうしても生きるか死ぬかの局面に至る事があります。そんな時に皆様には何があっても生き残って貰いたいからです」


 なんて凄まじい技なんだろう…


 デルの言葉を噛み締めて、僕はマイの所に向かう。マイはさっと僕をかわしアンと正対する。えっ、違うって決して手が滑ったとかするつもりじゃなくて、実力が近い者同士で練習しようと思っただけで…


 僕の肩に大きな手が置かれる。振り返ると、満面の笑みのマッチョマン…こいつは変なとこ鋭い。


 それから何度か気を失ってミネアにエリクサーをぶっかけられたりした。


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