忍び寄る者
すみません、時間なくて、後で推敲修正しますです。
「ミカ、先に待ってるよ、私達は一緒だ永遠に…」
「キャッ」
私はベッドから跳ね起きた。頭の中にはまだ気持ち悪い笑顔が貼り付いている。
「大丈夫?」
椅子に座っていたマイ姉様が小剣を手に立ち上がる。
「あっ、すみません、大丈夫です。嫌な夢見ただけですから」
私はまたベッドに潜り込む。何も無かったけど、微かに水の腐ったような臭いがした気がした。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
私の名前はミカ。冒険者だ。今は迷宮都市オリンピュアを根城にしている。自慢ではないが、私のパーティーはこの街で最強との誉れ高い。4人組のそのパーティーで私は前衛で戦ってかつ仲間の傷を癒す神官戦士をしている。もっとも、戦闘では専業戦士のアンジュには勝てず、器量ではエルフの野伏のデルには劣り、私は結構胸は大きいのだけど、仲間にはおっぱいモンスターの魔法使いのルルがいる。
そんな感じで、私はあまりパーティーでは目立たず、しかも存在の必要性自体が
薄くなり始めた。
私達の恩人であり、師匠であり、憧れの対象であるザップ兄様は魔法の収納のスキルを持っている。
そのスキルがレベルアップして、管理者権限というのを与えた者にタブレットというものを与える事が出来るようになった。
そのタブレットは与えられた者はそれを自由に出したりしまったり出来て、しかもそれで兄様の収納を使う事が出来る。
兄様の魔法の収納には無限にエリクサーという霊薬がはいっている。振りかけると全てが回復するというチートなものだ。
そのタブレットを私達はみんな貰ったので、私は回復魔法を使う事が無くなった。
そんな感じで、引退の2文字を考え始めた時に、1人の男性が現れた。魔道都市の貴族で私に興味があると言う。そこそこに格好よく、愛嬌のある人だったので、何度かご飯なんか食べに行ったりした。少し心惹かれて来た時に事件が起こった。
街の墓が暴かれたり、行方不明者が増え、それを調べた者も失踪するという。未解決事件として難易度が上がり私達の所にその依頼が来た。そして調査して犯人を突き止めてその屋敷に行くとそこは地獄だった。地下室では言葉に出来ないような実験が行われており、その奥には私にいいよって来た男性が…
無力化して衛兵に連れて行かれた彼は明らかに正気を失った顔で、私に産まれて初めての愛の言葉を贈った。
その時、私は自分の運の悪さを呪った。
それからしばらく、私はいつも誰かに見られているような錯覚に陥った。
男の屋敷は調べられたが、明らかに死体が足りないという。あと、男のしていた研究は忍び寄る者という、死体を使って作る目に見えない魔法生物を作るというものだった。
専門のルルが言うには、そう簡単に作れるものでは無いという事だが、一応マイ姉様に相談したら、しばらく私の護衛をしてくれる事になった。
悪夢を見たからか、私は寝付けない。変な汗をかいたので、シャワーを浴びる事にする。なんと、ここの宿にはシャワーの付いたお風呂があるのだ。この街ではここだけだ。
マイ姉様は椅子に座って寝ているので起こさないようにして移動する。脱衣所で服を脱ぎ、シャワーを浴びる。
異臭がする。水の腐ったような臭い。
振り返ると、死体を継ぎ合わせた体に長い五本の爪が付いた手の化け物が…
体が凍りついたように動かない
「キャアアアーッ」
口から誰のものか分からない叫びが…
化け物は爪を振り上げる。私は目を閉じてしまう。
ドゴン!
まるでハンマーでドラゴンを叩いたような音がする。
目を空けると化け物は居なくなっていた。
「大丈夫か?」
ザップ兄様だ!
「さっすがあたしの不可視の魔法!マイだけじゃ無く、化け物も感知できなかったみたいね!」
ザップ兄様の頭には蝶のような羽根の小妖精のミネアが貼り付いている。
「グロだから化け物は収納に…」
私は服を着てないのも忘れてザップ兄様の言葉を遮って抱きついてなきじゃくった。
なんでこの人は格好悪いのに、ここ1番って時には私を助けてくれるのだろう。ザップ兄様が誰か好きでもいい。私は兄様をずっと見ていたいと思った。




