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 リベンジャー


「ザップ・グッドフェロー覚悟っ!」


 僕が1人で酒場でスィートミルクを楽しんでいた所に、1人の女性が剣を抜いて襲いかかってきた。赤毛のボブでそばかすのある化粧っけはないが整った顔だ。僕はミルクのカップをもってひょいっと避ける。女性は勢い余って机にぶつかって転倒する。


「おのれ、卑怯な! 正々堂々勝負しろ!」


 女性は立ち上がるとまた剣を構えて剣を振るう。卑怯も何もただよけただけなんだが。

 それにしても、てんでなっちゃいないな、間違いなく素人だ。重心移動が出来てない。手で剣を振っていてしかも剣に引っ張られている。

 僕は剣を右手の人差し指と親指で摘まむ。女性は力を込めるが微塵も動かない。僕はこぼす前にミルクを飲み干す。


「おいっ! 悠長にミルクなんか飲んでるんじゃねー!」


 むう、うるさい奴だな……


「おい、何故俺に襲いかかる?」


「何故って、てめーの胸に聞いてみな! こちとら調べがついてんだ、おめーがとーちゃんを殺したってのがな!」

 

「お前のとーちゃんって、魔物か盗賊か?」


「なに言ってやがるんでいっ、とーちゃんは商人だった、てめーがとーちゃんを殺して身ぐるみはいだって調べがついてんだよー!」


「おいおい、ちょっと待て、俺はお前のとーちゃんを殺してなんかいない、そもそもこの町には、今ついたばかりだ」


 そう、僕は冒険者ギルドでゾンビの群れの討伐の依頼を受けて片付けて来た所だ。アンデッド嫌いな僕の仲間達はお留守番だ。


「それに、なんで俺が犯人だと決めつける?」


「そりゃー、なんとか逃げのびたとーちゃんの仲間が犯人が持ってた武器がトゲのついた鉄球だって言ってたから、ここらの子供だってそんな武器使うのはザップだって知ってるぞ!」


「おい、まてまて、そんな武器、オークやトロールだって使ってるぞ、そいつらもみんなザップなのか? それだけで俺を犯罪者にするんじゃねー!」


 それから不毛な会話を続け、真犯人を見つける事を条件に、なんとか僕がこいつのとーちゃんを殺してない事を納得して貰った。



「じゃ、お前のとーちゃんのかたきを見つけにいくぞ!」


 僕は気が進まないが、スキルでザパンに化けた。まあ、野盗を狩るのには男女のペアより女2人の方がやりやすいだろう。


「おめー、よく化けたもんだな……あたいよりべっぴんさんじゃねーか……」


「お、おいっ、胸揉むな揉むな、ずれるだろ!」


 こいつは変態なのか? 的確に敏感な所を攻めてくる。


「すげーな、本物みてーだ。あたいにもそれ分けてくれねーか」


「すまんが、これは企業秘密だ。分けたい所だが、大金が発生する」


「チェッ、つまんねーの、胸がでっかくなったらあたいも玉の輿狙えるとおもったんだがなー」


「大丈夫、お前は充分魅力的だよ」


 こいつは話しやすいのでさらっと褒めてやる事が出来た。


「おめー、何言ってんだー? おめーのような女装趣味の変態に言われても嬉しくねーよ。ちゃんと吟遊詩人とかにはザップは女装趣味って伝えてやるよ、これでモンキーマンサーガがより面白くなるべな」


「女装趣味……変態……誰が好き好んでこんな格好するかよ! お前のとーちゃんの敵を探すためだろ! ぶっ殺す!」


 しばらく僕達はじゃれあった後、彼女、マリスのとーちゃんが殺された街道に向かった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「おめーがザップ・グッドフェローか?」


「だから、ハンマーもってる奴をみんな俺にするな!」


 マリスの素っ頓狂なボケに一応突っ込む。もうやだ疲れた……


 僕達の前には盗賊の一団がいる。その首領っぽい奴は小振りのトゲつき鉄球ハンマーを持っている。僕のミノタウロス王のハンマーをあんなチンケなやつと一緒にしないで欲しい。


「ザップ、冗談は顔だけにしなよ。あたいだって馬鹿じゃない、ハンマー持ってるだけでザップになるなら、この世の中ザップばかりになっちまうだろが。おめー馬鹿かよ!」

 

 くぅー、馬鹿に馬鹿にされた! 僕の頭のなかで何かが千切れた。盗賊なんてどうでもいい、この馬鹿娘を成敗してやる!


「おい、何遊んでやがる、命が惜しくねーのか?」


 マリスの首を絞めている僕に盗賊の首領が話しかけてくる。うぜー。黙ってたら見逃してやったかもしれないのに。


「けほっ。けほっ。1つ尋ねるがおめーがあたいのとーちゃんを殺したのか?」


「そんなの知らんわ、いちいち殺した者の事なんか覚えておらんわ」


 盗賊の首領は僕らに向けて剣を構える。


「あっ、それはとーちゃんの持ってた剣……とーちゃんの敵、ぶっ殺す!」


 剣を抜き駆け出そうとするマリスの腕を掴んで止める。


「敵? ぶっ殺す? 残念だか天地がひっくり返ってもその夢が叶う事はあり得ない」


 盗賊の首領はハンマーを構える。そんなに強そうには見えないがどこからその自信が?

 ん、なんか臭い。果物が腐ったような臭いがする。もしかして……


「マリス、残念だが、お前にあいつらを殺す事は出来ない」


「なんでだよ! 差し違えてでもあいつらをぶっころしてやる!」


「よく見てみろ! あいつらもう死んでるんだよ!」


「ええーっ!」


 マリスの叫びが響き渡る。


「まぁ、そもそもお前の腕ではあいつらが生きてたとしても無理だ。力を貸してやる。敵討ち気分だけ味合わせてやる。マリス、大上段に剣を構えて全身に力を入れろ!」


「こうかっ!」


 素直にマリスは言われた通りにする。


「マリスソードッ!」


「きやっ!」


 僕はマリスの両足首を掴んで振り回す。今はもはや彼女は一振りの剣。


「剣を離すなよ!」


「ウギョロェエエエエエエーッ!」


 マリスは女子が出すのを初めて聞くような声で喜びを表していると思われる。


 僕はマリスソードを振るって、ゾンビ化した盗賊どもを切り刻んでいった。1回マリスが剣を離したので、マリスで殴った事もあったが。

 余談だけど、僕が盗賊どもがアンデッドだと気付かなかったのには訳がある。盗賊全員背中側にしか傷を負っていなかったからだ。さしずめ、ゾンビなどに遭遇して全員逃げながらやられていったんだろう。なんてチキンな盗賊だろう。


「良かったなマリス、敵討ち出来て」


 マリスは放心状態で地べたに直座りしている。その全身は腐った血まみれで、腐った肉片とかもついている。


「ありがとう、ザップ、おかげで敵は討てた……なんて言うわけなかろーが! 今からおめーが敵認定じゃい!」


 マリスは目を血走らせて僕に襲いかかってくる。逃げても逃げても見つかり、しばらくしつこくつきまとわれた。やり過ぎたか?

 

 昨日は『長谷川凸蔵』先生の、


『【完全版】俺は何度でもお前を追放する~ハズレスキルがこのあと覚醒して、最強になるんだよね? 一方で俺は没落してひどい最期を迎えるんだよね? 知ってるよ、でもパーティーを出て行ってくれないか~』


というお話を読みました。胸がジーンとなる素晴らしいお話でした。ぜひ皆様にも読んでいただきたくて紹介しております。激おすすめです。


 その勢いで、面白そうなタイトルに惹かれて、


『嘘をついて作品をバカにしてきたなろうアンチを、嘘を暴いてざまぁしてやった話。』


 というお話もいっちゃいましたが、読んだ瞬間☆5押してしまいました。個人的にはとってもスカッとするお話でした。凸蔵先生、やばい、頭すごすぎる!


 あと、本日も読んでいただきありがとうございます。


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 2022/2/6 この話に『いいね』を頂いていたので、改稿しました。あと、余談ですが、この話は、某超有名ラノベへのオマージュでもあります。スペシャルの2話目か3話目だったとおもいます。

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