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 続 荷物持ちは弱くなりたい


「これだけあれば大丈夫でしょう!」


 魔道都市の導師の見た目幼女のジブルがテーブルの上にずだ袋をひっくり返す。その途端に辺りの温度が少し下がったような気がする。


 禍禍しい型に禍禍しい紋の装飾を施した幾つもの装飾品。


 魔道都市の持つすべてのコネクションを使って集めて貰った初心者シリーズの呪具だ。


 初心者シリーズ、それは装備した者のレベルを最低値まで下げるという夢のアイテムだ。


「これを装着する事で、やっと俺も人並みの生活を送る事が出来るな」


 つい饒舌になってしまう。赤子のそばによると泣き出され、可愛い動物に近づくと一目散に逃げられる。そんな魔王のような生活ともこれでおさらばだ!


「ザップ、それ本気で言ってるの?それ全部装備したら間違いなく変質者よ…」


 マイがジト目で僕を見ている。禍禍しいその装飾品を身に着けた僕を頭に描く。   

 あ、駄目だ、赤ちゃん泣いてるし、猫も逃げてるよ…


「……まあ、それは置いとくとして、これらで弱くなる事が出来たら、気兼ねなくみんなと戦闘訓練が出来るはずだ」


 今よりも強くなる為に、剣術や格闘術をもっと習いたいのだが、今の僕は力が強すぎて練習にならない。かなりかなり力を押さえてやっとなんとかなる位だ。

 例えば本気で剣などを振るったとしたら、自慢でもなんでもなく相手はかわすしかない。力が強すぎて受けたり逸らしたり出来ないのだ。

 これはアホみたいにレベルを上げすぎたのと、『剛力』のスキルのレベルを上げすぎたからだと思われる。

 アホみたいにレベルが上がったのは黒竜王のおかげだ。再生する奴を刻み続けた時にどうやらアホみたいな経験値が入ってたと思われる。黒竜王ってこの世の最強の一角だったらしいしな。

 あと、剛力のスキルは使い続けてレベルが上がったのプラス、僕が剛力のスキルポーションを飲み捲ったからだ。何故か昔根城にしてた原始の迷宮では剛力のスキルポーションばっかり引き当てて、スキルポーションは甘くて美味しいのでおやつ代わりに飲み続けてた。

 という訳で力を制限する何かが必要な訳だ。

 ジブルの持ってきた装飾品をあらためる。前回は一撃で駄目になったので、最大攻撃するべきだろう。サークレット、ネックレス、ブレスレット2つ、アンクレット2つ、指輪が10個ある。さすがだジブル気が利いてる。全部一度に装備できる組み合わせだ。


「むぅ、どうやって一度に装備しよう?」


「あ、待ってて」


 マイはスマホを出すと、ガンガン通話し始めた。


 マイ、ドラゴンの化身アン、ジブル、妖精ミネア人化バージョン、あと少女冒険者のアンジュ、ミカ、ルル、デルの4人が集まった。

 協議の結果、一番素早いマイが左手の指輪担当、次に素早いアンが右手の指輪担当、デルがサークレット、ジブルがネックレス、ミカが左手のブレスレット、ルルが右手のブレスレット、アンジュが左足のアンクレット、ミネアが右足のアンクレット担当に決まった。


 僕は何をしてるのだろうか?


 僕は今、椅子に座って両手両足を前に突き出して座っている。そして、僕を取り囲む真剣な顔つきの少女8人、手に各々担当の装飾品を持っている。何というか、王様?ハーレム主人公?しかもみんな前かがみなので、胸元が見えている。天国だ。けどいかんな変な所が元気になりそうだ。


「この体勢きついから、すまんが急いでくれないか」


 本当はしばらく眺めていたい所だけど、涙をのんで口を開く。


「わかったわ。行くわよ!せーのっ!」


 マイの掛け声の下、一斉に装飾品が僕に装着される。マイとアンは流石だ。ほぼ同時に全ての指に指輪がはめられる。


 ずーんと体が重くなる。なんか装飾品から微かに煙みたいなのが出てる気もするが気のせいだろう。


「協力ありがとう」


 僕は立ち上がる。成功だ。今の僕は一般人のはずだ。


「マイ、試しに俺を殴ってくれないか?」


 僕は装飾品をジャラジャラさせながらマイの方を向く。マイは少し後ずさる。


「え、殴る?」


 マイは更に後ずさる。どうしたんだ?


「ザップ、きーもーいー!」


 ごきゅっ!


 マイの右ストレートが僕を打ち抜く。


 うげ、痛すぎるわ!加減無しか?


 ん、マイが消えた?


「ご、ご主人様…」


 目の前にいるアンに近寄ろうと前に歩くが逆に離れていく。なんか首の辺りがめっちゃ痛いし動かない。


「ザ、ザップ、こないでー!」


 マイの声がする。何処だ?僕は後ろに倒れる。手を掻くとなんか柔らかいものに触れる。そしてそのまま後ろに倒れる。胸やお腹の所になんか柔らかいものが触れているんだけど、目の前には何も見えない。幻術か?


「ザップさん首!」


 ジブルの声がする。


「スリープ!」


 ミネアの声がして瞼がとても重くなる。む、睡眠の魔法か?


「チャンス!ザップ兄様は私達が頂きます!」


 アンジュの声だ…頂くってなんだよ…


「いえ、私が頂きます!」


 アンか?おまえもか…


「何言ってるのよ!あなたたち!ザップは渡さないわ!」


 マイの言葉を最後に僕の意識は闇に沈んで行った。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「ザップ、起きた?」


 なんか花のような香りにつつまれながら、柔らかい感触のなか僕は目を覚ました。

 目を空けるとマイが逆さまに僕の顔を覗いている。こ、これは、伝説の膝枕か?


「ごめんね、ザップ、強く叩きすぎて首が反対になっちゃった。あ、治療は終わったから」


 マイが慈母の笑顔で僕を見る。口を開くたびに吐息がかかる。僕は鼓動が速くなるのに気付く。なにがなんだか訳がわからない?


「みんなはどうしたんだ?」


 僕は疑問を口にする。


「ううん、寝てるわよ…」


 一瞬マイの目が泳いだのを僕は見逃さなかった。


 僕とマイは見つめ合う。膝を通じてマイの鼓動を感じる。少しづつ速くなってる。


 装飾品をつけた所がなんか痒いが無視だ。金属アレルギーか?そんな事より、今はこの時間を大切にしたい。


 ん、なんか焦げたような臭いがする。


 しかも髪の毛が燃えたような嫌な臭いだ。火事だけはよろしくない。


「ん、なんか臭いな?」


「く、くさい!!」


 ゴツッ!


 マイが急に立ち上がって僕は地面で頭を打つ。やっちまった!主語入れ忘れた!


 僕は急いで立ち上がる。辺りを見渡すと、みんなソファに行儀良く寝てる。けど、骨片となったジブルとアンの口にある血を拭き取った跡を僕は見逃さなかった。もしかして、あの後凄惨な戦いが行われたのか?


「ま、待てっ、マイ、なんか焦げたような臭いがしないか?」


「どーせあたしは、くさ、え、ザップ、ザップから煙が!」


 ボボボボボムッ!


 僕の身に着けていた装飾品が次々に爆発していく。どうも徐々に装飾品が熱くなっていったのに気付かなかったみたいだ。痛みに対して鈍すぎるだろ。


 やっぱり駄目だったのか…


 無駄な時間を過ごした事でどっと疲れが来る。


 ま、けど、なんかいい思いしたから良かったとしよう。


 けど、マイの機嫌が戻るのには結構時間がかかった…




 



 

 先日から力水先生の


『最弱で迫害までされていたけど、超難関迷宮で10万年修行した結果、強くなりすぎて敵がいなくなる~ボッチ生活が長いため、最強であることの自覚なく無双いたします。』


 という作品を読んでました。とっても面白く、私のおすすめです。なんと言うかとっても格好いいです。あと爽快感がはんぱないです。ぜひ読みに行かれてくださいです。

 なろうさんの方では最近更新が少ないですが、カクヨムさんの方ではもっとお話が進んでます。


 読んでいただきありがとうございます。


 みやびからのお願いです。


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