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 地蔵背おい返し


 その日僕が運んでいたのは、魔道都市アウフの誰か解らない有力者から、王国のこれもまた名前を知らない有力者への密書。

 何故僕がこんな訳の解らないしかもガキの使いのような仕事を引き受けているかと言うと、その僕の知らない人達はあくまでも交渉の担当なだけでしかないからだ。

 実質交渉しているのは、我が家の生きてる冷房器具の見た目幼女の子供族ホップの魔道都市アウフの評議員で魔道士ギルドの導師であと趣味で魔物であるスケルトンに変身するジブル。

 それと、僕のかつて仲間で数少ない男性の友人だと思っている、女遊びばかりしてるダメ人間国王ポルトの2人だからだ。

 よく考えると、ジブルってキャラ濃すぎだろ、どんな人生送ったらそんなに属性詰め込めるのだろうか、正直僕だったら幼女導師くらいで止めとくが、更に変身能力は欲張りすぎだろ。

 あとポルトって『ポルノ』って言葉に似てるよな、今度からはプライベートでポルノ国王って呼んでやろう。

 そんなくだらない事ばかりかんがえてるのはとってもとっても暇だからだ。

 僕は王都の下町の貧民街のほとんど客の居ない酒場で果実水を飲んでいる。その中で最も治安が悪い所で盗賊ギルドや暗殺者ギルドとかの非合法のギルドの本拠地があると言われている所だ。犯罪は日常茶飯事、そこらに死体が転がってても誰も気にしない。国も諦めているのか、この区画は完全に無法地帯と化している。

 何故こんな所が密書の受け渡し場所に選ばれたかと言うと、この区画に入ったよそ者は力と知名度が無いと即座に身ぐるみ剥がれて外に放り出されるからだそうだ。力があるものにとってはある意味街の中では一番安全な場所とも言える。

 王国と魔道都市が何故裏でコソコソ交渉をせざるを得ないかと言うと、東方諸国連合と都市国家の12国は決して互いに仲良くない。

 過日暴走した魔道都市は他国から牽制されており、もし魔道都市と王国が懇意にしているという事が他国に知れ渡ったら何らかの国際間の問題に発展する可能性があると言う事だ。

 王国の水瓶みずがめであるバル湖に対して援助した事が国際間で問題になり、今ジブル達はその対応に苦労してるそうだ。


 僕は果実水に軽く口をつける。それにしても最低な店だ。机も椅子も当て木がしてありボロボロだ。壁も所々打ち付けた板で塞いである。乱闘が日夜繰り広げられていて修理や買い換えは諦めて居るんだろな。特に最低なのは、一応飲食する場所の筈なのに、とってもゴミ臭く路地裏と同じ香りがする所だ。マイあたりを連れて来たら怒り狂うだろうな。

 

 それにしても王国の使者こねーな。帰ろっかな。


「………………っ!」


 首に激痛が走り僕はそのまま吊り上げられる。背中が伸び両手両足が宙をかく。首に手をあてるが細い頑丈な紐が首に食い込んでいて指が入らない。

 目に店の店主が何事も無いようにコップを拭いているのが見える。さすが治安最低エリアだ。

 どうも僕は紐で首を絞められて背負われているらしい。


『地蔵背おい』


 過去から現在に至るまで、数多の暗殺者が愛用してきた必殺技だという。首に紐をかけて背負う事で、やられた側は体重で首が絞まるので、女子や子供でも簡単?に大の大人を殺す事が出来るという。

 先日、デル先生の格闘技講座で習ったばかりだ。それがすぐに役立つとは。

 首が絞まり始める。普通の人だったら頭に血が回らなくなって昏倒してる所だが、僕の首筋は素晴らしいので、今やっと絞まり始めたみたいだ。


 やるか!


 僕は足を1回出来るだけ持ち上げ降りおろし、その反動でもう一度思いっきり足を振り上げる。僕を背負っている者の上をきれいに後ろでんぐり返しする形で暗殺者の前に降り立つ。『地蔵背おい返し』だ!

『地蔵背おい』を抜け出すには、背負っている側はその前方に引っ張っているからその方向に力を加えてやるとこのように抜け出せる。

 まさか、デルの技が速攻役立つとは……


 僕は暗殺者に一撃くれてやって意識を刈り取ると、担いで貧民街を後にし王国の衛兵につきだした。そのドサクサで密書も上手く渡す事が出来た。

 ちなみに、暗殺者は自害して詳細は解らなかったそうだ。

 デル先生の格闘技講座、定例開催にする事にした。



デル先生の格闘技講座にたくさんのポイントブックマークいただきありがとうございます。


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