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 水不足


「去年から今年にかけて中央山脈の降水量が少なく、王国の水瓶である、バル湖の水位がどんどん下がってます。このままだと、飲み水はなんとかなりそうなのですが、最悪のケースは灌漑用水が不足して深刻な食糧難に王国は見舞われるかもしれません」


 僕、マイ、ドラゴンの化身アンは今リビングでくつろいでいる。猫のモフちゃんはふらっと何処かに出て行った。猫だしな。

 そこにジブルが帰って来た。最近は仕事が忙しいらしく残業が多い。それでも毎朝出勤前に、部屋の温度を下げる為の大きな氷を置いていくのは忘れない。それは僕らにとってはとても有難い事なので、ジブルの出勤時には、家族総出で見送る。まるで、お父さん、大黒柱みたいだ。

 そして今日はお土産に僕達に仕事の話を持ってきた。

 ジブルは帰ってきてジュースなど飲みながらマイに仕事の愚痴などを話した。ここまでは平常運転だった。まるで、ちっちゃいおっさんみたいだ。そして、魔法授業の時以外には珍しく、真面目な顔して真面目な話をし始めた。



「それやばいんじゃない?南で雨が多かったって聞いたからそれが原因かもね、どうにかして湖の水増やせないの?」


 マイが僕の方を見る。まぁ、僕は答えが出ているのだが。


「それならどっからか水をご主人様の収納に入れて持ってくればいいんじゃないですか?」


「バル湖の水位を上げるくらいの量の水を取ったら、今度はその湖の回りが水不足になりますよ」


 アンの言葉にジブルが微笑みながら答える。そしてジブルは僕を見る。マイ達は気づいていないようだったが、何故か今僕の収納の中には大量の水がはいっている。水が増え始めたのとジブルが残業し始めた頃がだいたい同じくらいだ。


「それで、お前の指示の下、魔道都市の魔法使い総出で魔法で水を出して、俺の収納に溜め込んでいったって訳か」


「はい、そうです。ザップさんにはご迷惑をかけない予定だったのですが、魔法の収納に入れたり出したりするのは、私には量の制限があるみたいで、十日かけて入れたり水を出すのには多分同じ時間かかりそうで、さすがに十日も湖のそばで水を出し続けるのはちょっと……」


「ちょっとじゃないだろ……要はお前、水を王国に売った時の報酬を俺に払いたくなかったんだろ」


「すみません、魔道都市は貧乏で、私のお給料も減ってるんですよ、私腹を肥やしたりはしてないです、ちゃんと国の事業としてやってる所ですぅ」


 ジブルは胸の前で自分の手を握って上目使いで僕を見る。こいつ、自分が可愛いと思ってやってやがるな!しかも、ちょっと可愛いと思った僕がいる。けどなんかすこしイラッとした。


「アン、お仕置きしてやれ!」


「キャハハハハハハッ!」


 ジブルにドラゴンくすぐりが炸裂した。アンはドラゴンなのに異様にこういうスキルは高い。どういう生活おくって来たのだろうか? 


 そして、僕の手助けもありバル湖はいつも通りの水量に戻った。政治的な手続きはジブルがもう済ませていて、魔道都市の借金はかなり減ったそうだ。僕も鬼じゃないので、出来る範囲の報酬でいいと言ったのだが、結構なお金を貰った。






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