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 『潰し』と『流し』


「はーい、最近はやわら系ばっかだったので、今日は打撃系のテクニックをやろうと思いますっ」


 エルフの格闘家のデル先生の恒例の格闘技講座だ。色々忙しくて久々な気がする。なんか回を追う毎にデルさんのテンションが高くなっているような気がする。


 けど、デルのレクチャーはとても有益だ。練習が必要なものもあるけど、見ただけ聞いただけで実践できるようなものも多く、とても役だっている。先日、ドラゴンをジャイアント・スイングしたばかりだしな。


 僕達は、町を離れた草原に来ている。まだ午前中なのでそこまで暑くはない。


 今日のメンバーは僕、マイ、ドラゴンの化身のアンと、かつてダークエルフだった男レリーフだ。


「では、レリーフ、私に殴りかかってきて下さい」


「はい、いかせていただきます!」


 レリーフはデルの前に立つと右手を引いて殴りかかろうとする。デルは前にでると、そのレリーフの拳を人さし指1本で止める。


「武器でも拳でも、その攻撃に入る瞬間は威力がなく、誰でも攻撃を当てようと予定してるポイントで最大威力を発揮します。ですから前に出てその攻撃を押さえると、このように簡単に『潰す』事が出来ます。しかも少し押すと力が入らない体勢になるので、簡単に投げる事もできます」


 デルはレリーフの拳を押すと、その拳を握り捻りながらレリーフを後ろに倒す。やべぇ、華奢なデルが簡単に大男であるレリーフをぶん投げた。しかも打ち所が悪かったのか、一発でレリーフは気絶している。

 僕は大事をとって一応収納からエリクサーを出してレリーフにかけてやる。レリーフは首を振りながら立ちあがる。


「ありがとうございます」


 レリーフはデルに深々と頭を下げる。うん、軍隊だ。のばされてありがとうございますは、なんかヤバい世界に踏み込みかけているにおいがする。

 

 けど、攻撃が力を発揮する前に前に出て『潰す』か……

 避けるでも受けるでもなく、前に出る防御というのがとてもいい感じだ。なんかロマンを感じる。それに僕の戦闘スタイルにばっちりだ。


「それでは、レリーフ次は私に回し蹴りをしてきて」


「はい!回し蹴りいきます!」


 レリーフはデルに向かって丸太のような足を放つ。デルは半身下がってそれをギリギリでかわすとその足を蹴りの進行方向に払う。レリーフはバランスを崩すが踏み留まる。けどデルには背を向けている。デルの軽い蹴りがレリーフの軸足の膝の裏に刺さり、嫌な音をたてながらレリーフは崩れ落ちる。


「レリーフ!敵に後ろを取られたら?」


 デルが声を張る。


「前方に移動しながら転換」


 レリーフは前方に飛び込み前回りをしながら体を捻る。そしてデルの方を向いて手をつきながら立ちあがる。凄いなどんな訓練したんだろう?

 よく見ると左膝が変な方向を向いている。


「レリーフ!足!足!」


 デルが慌てる。レリーフは何事も無かったかのような顔をしている。けど、脂汗がにじんでいる。


 僕はレリーフを座らせて足を引っ張って関節をはめなおしてやり、一応エリクサーをかけてやる。


「ありがとうございますっ!」


 レリーフは、僕とデルに慇懃極まりない礼をする。


「攻撃をかわしたあと、それに力をくわえて『流し』てやると、相手のバランスを崩す事も出来ます。思いもよらない力が入るので武器あいての時ははじき飛ばしたりする事も出来たりします」


 デルが解説してくれる。みんな興味興味津々だ。


 避けた攻撃を加速してやりバランスを崩すか。考えもよらない方法だな。


 そして、僕達は組んで練習して新たな技術を手に入れた。けど、僕とレリーフは何度か脱臼した。体が固いからか?





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