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 冒険者認識票


「とういうわけでぇ、ザップさんにはランク認定の試験を受けてほしいですの」


 ギルドの受付嬢から、鼻がもげそうなくらい甘い香りがたちこめる。シャツの胸元はガバッと開いていて、まるでお尻のような白い谷間が覗いている。胸デカすぎだろ…

 少し濃いめのアイメイクで目尻を強調する事で目を大きく見せていて、カーマインの口紅が彼女を若干大人びて見せている。ファンデーションは少なめで軽く頬にチークをさしている。青い瞳にウェイビーなプラチナブロンドの髪、デフォルトで男性が好む身なりと容姿だ。なんで化粧に詳しくなったかと言うと、最近のマイ達の流行がしっかりお洒落とメイクして、王都の南に新しく出来たショッピングモールに行く事で、僕もザパンに変身させられてその買い物に散々付き合わされたからだ。


 僕達は今、迷宮都市オリンピュアに来ている。少女冒険者達から、冒険者ギルド本部に来て欲しいと頼まれてここに来た。この受付嬢を僕にあてて来たということは、ギルドマスターの、アルフレッド・ナザレの本気度がうかがえる。けど、色仕掛けはいただけない。隣でマイは微おこだし、逆にアンは目の前の巨大な胸部装甲を穴が空きそうなほど睨んでいる。


「…もげろ…」


 アンがぼそりと呟く。彼女も人間生活に馴染んできて、自分は決して大きくない事に気付き始め僻みだした。少女冒険者の富める者たち、魔法使いのルルと、神官戦士のミカにあうたびに収穫しようと襲いかかっている。見てる分には微笑ましいが、いつかガチバトルに発展しそうだ。


 話を戻すと、今まで、地域によってバラバラだった冒険者の等級を均一化する事になり、名の売れた冒険者である僕達にそのランク認定のテストを受けて欲しいとの事だ。ランクが決まったらそのランクに合わせた素材の冒険者認識票を買う事が出来て、ランクに応じてギルドで色んな特権を行使出来る予定だという。ランクは下から、Gクラスのウッド、Fクラスのレザー、Eクラスのストーン、Dクラスのカッパー、Cクラスの鋼鉄アイアン、Bクラスのシルバー、Aクラスのゴールド、Sクラスの白金プラチナ、SSクラスの魔法銀ミスリルがあるそうだ。

 建前は冒険者にランクをつける事で依頼の斡旋をスムーズにも出来て、冒険の失敗を減らす事が出来るとか言っていたが、なんか集金システムの臭いがする。


「マイ、どうする?」


 僕の問いにマイはポケットからプラチナの金属片を出して僕に見せる。


「……アンはどうする?」


 アンは首にかけたチェーンを引っ張り上げてプラチナの金属片を僕に見せつける。


 後ろのテーブルにいるアンジュたち少女冒険者を見ると、4人とも金色の金属片を僕に見せつける。


「…………」


 なんと、抜け駆けされてたのか……


 多分、『地獄の愚者フール・オン・ザ・ヘル』の冒険者パーティーと絡んでいた時だな。


 なんか、めっちゃ気分が冷めた。


「俺は木でいい。木の冒険者認識票をくれ」


「あー、ザップがすねちゃった」


「ご主人様、テスト受けて一緒のSクラスになりましょう」


「いや、俺は一生、木でいいよ、木っていいよな、森にもなるし」


 僕はみんなの制止を振り切って冒険者ギルドを後にした。チクショー!


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