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 飛行魔法


「風の魔法を極めると、このように風を纏って空をかける事もできます」


 見た目幼女の魔道都市アウフの導師ジブルは、まるで舞うかのように空中を飛び回った後、僕達の前に降りたって自慢した。


「私は、風の血脈に連なる者ですのでこれ位の事は容易いですが、残念ながら皆さんは風の魔法の資質が低いですので、風魔法のスキルポーションを沢山飲んだりしない限り私のように出来るようにはなれないと思います」


 やっぱりただの自慢だったのか。今日はジブルの魔法講座の屋外授業、僕とマイとアンとジブルで町の近くの草原に来ている。

 ジブルに飛行魔法を見たいという僕の要望に応えて貰った形だけど、なんか少しだけ腹が立つ。

 うう、僕も風魔法を極めて空を飛びたいものである。


 授業は未だ理論ばかりで実際の魔法訓練はまだ先だ。

 ジブル言うには、本来魔法は才能がある者が必死に勉強し訓練してやっとファイヤーボルトやマジックミサイルなどの初級魔法を使えるようになるそうだ。

 僕みたいにスキルポーションで一発ゲットというのはかなり幸運なパターンらしい。もっとも僕の魔法は役に立つレベルではないが。

 ちなみにマイは幾つかの生活魔法、アンは理論がまだ余り解ってない竜魔法を幾つか使える。

 僕達は冒険者として魔法に関して無知過ぎるのでジブルの講義は理論だけでもかなりありがたい。

 マイは水と氷の属性の適性が、アンは火と土の適性がある。悲しいかな、僕は少しだけ闇の属性の適性があるという。ここでも僕はダークサイド寄りっぼい。

 

 どうにかして、魔法以外の方法で空を飛ぶのは難しいにしても空中戦を行う事は出来ないのだろうか?

 僕は空を飛ぶ敵に対しては無力すぎる。


「ジブル、飛ぶのは無理にしても、落下を弱めたり、空中で方向転換する方法は無いのか?」


「そうですね、『落下制御フォーリング・コントロール』という魔法がありますが、土属性ですしね」


「ご主人様、収納から何か出して、一瞬それを足場にすることって出来ないですかね?」


 アンが言う事は試してみた事がある。けど、僕が不器用なのもあるが、収納から出した物はすぐに落下するのでそれを蹴って何かするという事は出来なかった。

 いや、待てよ、僕の収納のポータルは空中に固定する事が出来る。もしかしたらそれを足場に出来るかも。


 まずはポータルを頭上に出して掴まってぶら下がってみる。うん、僕の体重を支える事が出来る。


「え、ザップ、それって」


 顔を輝かせたマイがタブレットを出して、収納からポータルを出し、その上にひょいと飛び乗り片足で立つ。


「え、ザップさんのポータルって凄すぎるでしょ」


 ジブルも同様にポータルを2つだしてそれを足場にする。ふらついてもう一つを目の前に出してそれに掴まる。


 アンはポータルを一定間隔おきに縦に並べて梯子を登るみたいに上がって行く。


「強度も試してみる」


 僕はぶら下がっていたポータルにハンマーをだして、軽めに叩く。大丈夫だ。次はマックスで叩く。乾いた音を立てて砕け散った。これはいい。もしかして、盾にもなるのか。もう一度だしてぶら下がってみてうごかしてみようとする。さすがにこの状態で動かす事は出来なかった。


「じゃ、しばらく授業は中断して、こいつを試してみよう」


「そうですね、知的欲求を満たすまでやりましょう!」


 ジブルの目はらんらんとしている。


「ザップ、すごい、凄すぎるわ。これ、あたしたちもっと強くなれるんじゃないの」


 マイは少し興奮している。


「これで、高い所にある木の実とかも、らくらく採れますね」


 アンはポータルを上手く出し入れして、結構な高さまで上がっている。スカートの中が丸見えだ……


 そして、僕達は心ゆくまでポータルで遊び尽くした。



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