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 久し振りの荷物持ち 6


 部屋に入ったジニーは、お金を払って部屋にバケツ2杯のお湯を運んでもらって、まずは自分の体を綺麗にし、次は汗だくの僕の服を脱がせて体を拭いてくれたそうだ。正直赤面ものだし、マイにばれたら危険な香りがする。

 そして朝を迎えた訳だけど、僕は一瞬何が起こったのかわからなかった。ベッドの上で下着だけの僕に、下着だけのジニーが抱きついていた。


 やっちまったのか……


 僕は驚愕したが、自分が女だという事に気付き安堵する。すぐに飲み過ぎてトリップしてしまった事に気づく。けど、これはいい。もし今後お酒をいっぱい飲まざるを得なくなった時には、ザパンにチェンジするようにしよう。そしたら決して過ちを犯す事はない。なんかどこか間違ってるような気がするが、まあ気にしないどこう。

 意外に豊満な体のジニーを視界に入れないようにしながら僕から引き剥がし、見ないようにシーツでくるむ。


「ザパンさん、おはよー、昨日は本当すごかったです。鬼神で女神みたいでした!」


 鬼神で女神? 訳が解らない。ジニーから僕が踊りまくったあらましを聞いて、少し安堵する。よかったそこまで人に迷惑はかけてなさそうだ。宿を借りられるくらい投げ銭を貰えた事に驚き、僕がそんなに凄い舞を披露した事にも驚く。酔っぱらった時の方がもしかして僕は有能なんじゃないのか? 複雑だ。

 そして着替えてからみんな集まり朝食をとりながら、昨日の出来事を擦り合わせた。

 当然僕はみんなに平謝りだ。けど、誰も怒ってなく、むしろ有難がられた。たかだか踊ったくらいで大袈裟だと思ったけど、おひねりの額を聞いて驚く。小金貨30枚分は軽く超えてるそうだ。一応仕事中の収入なのでみんなでお金は分けるそうだ。いつもパムはあまりパーティーに貢献出来てないらしく鼻高々だった。パムにコンビを組まないかと持ちかけられたけど、当然断った。昨日なにが起こったのか僕も見たかった。けど酔っぱらったから出来た事なので複雑な気分だ。

 そして僕達は依頼人の商人の所へ向かう。山のような小銭のおかげで昨日より荷物が重くなっている。もっとも全く苦ではないが。

 パムがしつこくに僕にお金を渡そうとするが、宿代と食事代まで出して貰ったので丁重に断る。彼らは駆け出しだからお金はどれだけあっても足りないはずだ。小銭を両替すると手間賃を取られるので、このまま持ち運んで使っていくそうだ。レリーフにいつもこの重すぎる財布を持たせとけば、少しは虚弱が解消される事だろう。

 商人の荷馬車はまた行きと同様に中身はパンパンで、僕達は前後に別れてそれを護衛しながら町の出口に向かう。通りすがる人達が何故か僕に手を振ってくるので、いぶかしがりながらも、このパーティーのイメージを悪くしない為、愛想笑いしながら手を振り返してやった。うう、こういうのは苦手だ……



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