そろそろ夏
「暑い……」
僕はマイとアンを呼んで今の気持ちを吐露した。この問題を解決しないと正直不愉快だ。
「もう夜なのに、こんなんでは気持ち良く眠れないぞ!」
なんか蒸し蒸ししててさっきお風呂に入ったのになんかもう汗をかいてる気がする。
「え、何言ってるんですか、まだまだ私的には涼しいの分類にはいるんですけど」
ドラゴンの化身のアンが何かふざけた事を言っている。こいつは暑がり寒がりのヘタレなはずなのにおかしい。僕は身を乗りだしその肩に触れてみる。そこには服の袖が見えているけど僕の手はそれを突き抜けてすべすべの肩に触れる。ダウトだな。
「おい、アン、お前の着ている服はまやかしだろ、お前今は魔法で出して服着てるように見えるだけで実際は裸だろ!」
「何言ってるんですか?私だって成長しました。下着は着てますよ!」
という事は、アンは下着だけなのか、そりゃ涼しいよな。ん、いつもだったらなんか突っ込むはずのマイが何も言わない。おかしい!
僕は身を乗りだし、マイの背中のチューブトップの布を触ろうとする。けどそれは突き抜けすべすべのマイの背中に手が触れ、思わず手を即座に引いてしまう。
「マイ……もしかしてお前も……」
「あ、ばれちゃった?あたしってば、寒さにはまぁ結構強いんだけど、暑さだけはちょっとね。やっぱりこの魔法便利なのよねー」
「お前達だけずるいぞ、俺にもその魔法くれ!」
「あ、ご主人様は無理ですよ、極端に魔力低くて不器用ですから。それにこの魔法には資質がいります。選ばれた者しか使えないんですよ」
選ばれた者って、そりゃ人前で下着だけでうろつくのには並の精神じゃ難易度高いだろう。ん、ここで僕は気付いた。そういえばおかしい、やたら最近2人の胸がぷるぷる動くような…
「マイ、もしかして今着ているのは魔法の服だけなのか?」
「え、ザップ、それって女の子に聞く事じゃないわよ」
「ミネアを呼んできて、魔法を打ち消して貰おうか?」
「ごめんザップ。今日だけゆるしてー、暑いのよー……」
とりあえず、今日だけはマイたちを余り視界に入れない事で我慢する事にした。悪いのは暑さだ。
「んー、なんか本格的に暑さ対策考えないとな」
僕もこの2人の事はガン無視して脱ぐか?
「そうね、そう言えば、ダンジョンの中っていつもひんやりよね」
「住むか?」
「不便よね……」
「魔法で何とかしませんか?」
アンの言うこともアリかもな。けど僕らは魔法が少ししか使えないしな。
「ラパンを拉致るか?」
「ラパンちゃんは、マリアさんが手放さないわ」
そうだな、ラパンは隣のお店の冷房担当だしな。猫のモフちゃんはそれ目当てで隣に入り浸って店の新たなアイドルになっている。
「じゃ、ジブルだな!」
斯くして、しばらく後には魔道都市アウフの導師ジブルが拉致られてきて、僕達のパーティーに強制参加させられる事になった。