冒険者ギルド支部
今、僕たちが住んでいるのは、『みみずくの横ばい亭』というお店の裏の広めの空き地だ。店の主のマリアさんの土地だ。ここは王国と東方諸国連合をつなぐ街道にある宿場町で、帝国へ向かう道とも交わっている。
そこそこに大きい町ではあるが、回りにはあまり魔物は生息していなく、国同士の戦争もない今では平和な町だ。
平和は良い事だけど、1つだけ問題がある。冒険がないのだ。採取する物も少なく、討伐する魔物もいなく、ヒャッハーな盗賊もいない。当然冒険者も少ない。
けど、僕達や、アンジュ達がよく逗留しているので、最近は若干冒険者が増えて、申し訳程度に冒険者ギルドの支部が出来た。前までは冒険者は結構離れた隣り町のギルドを利用していたらしい。
僕はなんかいい依頼がないか、その冒険者ギルド支部に足を運ぶ。そこは酒場を利用したもので、空いているのは午前中だけだ。それ以降は酒場に戻る。掲示板を見ると内容が地獄だ。
『逃げだした牛の確保、銀貨5枚』
『畑の草むしり、1日銀貨3枚』
『連れ込み宿の部屋掃除銀貨12枚』
『倉庫の鼠殲滅銀貨5枚』
「なんじゃこりゃ!ここは本当に冒険者ギルドなのか?何でも屋なんじゃないか?」
僕はつい声を荒げてしまう。
『調理補助、1時間銀貨1枚。若いウエイトレス1時間銀貨2枚【みみずくの横ばい亭】』
「あ、マリアさんの依頼があるなんだこの男女格差は……」
「へぇー、マリアさんの依頼珍しいわね、今日何かあるのかな?」
マイはその貼り紙の詳細を見る。
「今日の夜大人数の宴会あり。調理補助1名、ウエイトレス3名加勢求む」
「それは止めとこう。なんか嫌な予感がする。俺は宿の部屋掃除ってやつにするか」
「ご主人様、あれは止めた方がいいですよ、なんていいますか、その男女の愛を育んだ後の掃除なのですが、その、人間の愛の奥深さを、要は想像を絶するようなものの掃除をする事になりますよ……」
ドラゴンの化身アンが顔を赤くして若干言いよどんでいる。こいつが怯むとは凄まじい事をしないといけないのだろう。それにいつの間にこいつはそんな仕事をしたのだろうか?
「じゃ、止めとこう。あと、お金になりそうなのは……」
「ウエイトレス3人1時間銀貨2枚……」
マイが呟く。
「ウエイトレス3人1時間銀貨2枚」
アンも呟く。
「おいおい、ウエイトレス2人、調理補助1人だろ」
僕の背中に寒気が走る。もしかしてばれてるのか?
「じゃ、ザパンちゃん働きましょうか!」
僕はマイに手を引っ張られてギルド支部の受付カウンターに向かう。そうか、マイは鑑定持ちだ。この前TSポーションっていう地獄ポーションを飲んだ後増えた『TS』と言うスキルを看破されていたのか……
お金を稼ぐって大変なんだな……
昨日、今日は馬場翁さんの『蜘蛛ですがなにか』を読んでました。面白いっす。それで更新が遅くなってました。
先週はカルロ・ゼンさんの『幼女戦記』、先々週は依空まつりさんの『サイレント・ウィッチ』を読んでました。やっぱり書籍化された方々は面白いです。眠るの削ってしまう事になるかもしれませんが、ぜひぜひです。
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