導師のスキル
「と言うわけで、魔法を何らかの方法で昇華させて、絶対能力を持たせたものを総称して『世界を変革する魔法』略して『世界魔法』って言うのよ。じゃあキリがいいから今日はここまでね!」
黒板に書いた『世界魔法』って文字を導師ジブルは消すと教本をたたんで眼鏡を外す。
ジブルの格好はその小さな体に合わせた白衣で、さっきまではめてた眼鏡は伊達だそうだ。なんでも、少し頭がよく大人っぽく見えるから講義とか学会とかのときは使ってるそうだ。もっとも僕的にはそんな事してもジブルはジブルで、まったく変わりないと思うのだが。
僕たちは魔道都市アウフの魔道士ギルドの導師ジブルから魔法講義を受けていた所だ。
生徒は僕とマイとドラゴンの化身アンだ。週に1回の講義で、受講料は1回毎にみんなまとめて小金貨1枚。ジブルが言うには破格の値段らしい。普通だったら2時間の講義で、だいたい大金貨1枚は取るらしい。5分の1のスペシャル価格だと言っている。よく考えてみると、こう見えてもジブルは魔道士ギルドの重鎮なのだ。残念な骨だったイメージしかないけど、結構凄い人なんだと感心する。
「それでは私は温泉をいただいて帰ろうと思います」
ジブルがマイを見る。
「当然準備出来てるわ。今日は新しいボディソープ見つけて来たのよ、使ってみない?」
「うわっ、もしかして王都の新作ですか?最近王都ってお洒落な店増えましたもんね。私も行きたいんですけど、最近忙しくて、あまりアウフから出られなくてですね」
ジブルは基本的にうちで風呂に入って帰る。しかも恐ろしい位の長風呂だ。正直、また前みたいに出汁がでないか心配だ。
そしてその前に今みたいにマイといろんな小物や食べ物とかについての話に花を咲かせていく。いつもは面倒くさいから自分の部屋に引っ込む所だけど、今日はジブルに頼みがある。
「あと、ジブルちゃん用の椅子と手桶も買ってきたのよ。めっちゃ可愛いやつ」
「あ、ありがとうございます。お言葉に甘えて、そうですよ、今日はマイさんも一緒に入りませんか?忙しくなかったらですけど」
「そうね、せっかくだから」
マイはジブルをギューッと抱き締める。マイはジブルや子供などが好物みたいで、何かと抱き締める。なんか釈然としないが気にしないどこう。
「ザップさん、覗いちゃ駄目ですよ、こう見えても私、脱いだら自信あるのですから」
マイから解放されたジブルが胸を張る。確かにラパン以上ザパン以下だ。けど、僕は幼女にはまったく興味ない。
「骨なんかには興味ない。また出汁だすなよ」
「わ、私の黒歴史を……」
ジブルはわなわなと震える。
ふわさっ!
ジブルの白衣がストンと床に落ちる。
『ザップさん、言って良い事と悪い事が有りますよ』
そこには懐かしいスケルトンジブルがいた。
「あ、ジブルのスキルに『骸骨化』って言うのが増えてる……」
『えええええーっ!』
ジブルの声にならない叫びが響いた。
「どうしようもないスキルだな、導師なだけに」
また、僕の言葉は無かった事にされた。
しばらくしてジブルは元に戻ったけど、彼女はそんなにスケルトンが気に入ったのだろうか?
それを求めて研鑽した先でスキルは習得出来るものだから。
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