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 新しい鎧


「やっと完成したか。フフッ」


 つい僕の口から笑みがこぼれる。


「何が完成したの?」


 ソファに寝転んでるマイが突っ込んでくれる。マイのこういう空気読む的な律儀な所が好きだ。

因みに、この部屋にはあとドラゴンの化身のアンと少女冒険者4人娘の1人、魔法使いのルルがいるが、自由人の彼女達はなんか本みたいなのを読んでいて、僕の台詞を完全スルーだ。


 僕は王都の防具屋さんから届いた紙をヒラヒラさせる。


「王都でオーダーメイドした、俺のフルプレートメイルが完成したのだよ。今後これを着て人前に出たり、人前で戦ったりしたら、俺の二つ名も少しは格好いいものに変わって行くはずだ」


 僕はスマホで北の魔王リナを呼び出して、王都までワープポータルで送って貰い、新しい鎧を受け取りザップハウスに帰って来た。

 ちなみに、リナには呼び出した報酬代わりにカフェでデザートを奢らせられた。晒し者だった。当然リナはいつもの金色のビキニアーマーで僕は普通の格好だったけど、なんか悪目立ちしていて遠巻きに人混み的なものが出来ていた。モンキーマンとかいう囁きが聞こえて来てたので僕は完全に顔バレしていた。ここで全身鎧を着とけば良かったと思ったけど、さすがに僕にはその格好でお洒落なカフェに入る勇気は無かった。ビキニアーマーでカフェに堂々と入って気持ち悪い男共の視線が全く気にならないリナは、メンタルも魔王だとつくづく感じた。悲しいけど、僕のメンタルはまだまだゴブリンくらいだ。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「では、行くぜ!」


 僕は右手を天に伸ばす。


「着装!」


 僕は収納から全身鎧を出して装着する。


「聖戦士ザップ見参!」


 僕は足を肩幅くらいに開いて腰を落とし、右の拳を突き出し左の拳で天を突き、僕が鏡の前で考えた、格好いいと思われるポーズを披露した。


 やばい、格好良すぎる!


 これで僕はどこからどうみてもヒーローだ。子供に石を投げられる事もないだろう。


「…………………」


 マイ、アン、ルルが僕を注目している。3人とも何も言わずに持っていた本に目を戻した。


 な、なにっ!


 マイがスルーするとは……


 勇気を出して僕は口を開く。


「マイ……格好よくないか……な?」


 マイが未だかつて無いくらい冷たい目で僕を見る。


「ザップ、鏡、みれば」


「え、格好よくないかな?」


「ザップ、何処の世界にそんな南の海の魚みたいな色の鎧きた人がいるのよ……」


「え、目立つし斬新じゃないか?」


「ご主人様、私でさえも、その格好の方とは歩きたくないです。恥ずかしいです」


 アンがじと目で僕を見る。


「ぷっ」


 余り笑わないルルが失笑している。僕の心は深くえぐられる。


 羞恥心皆無のアンに恥ずかしいと言わしめた、僕の新しい赤と白のストライプ柄のフルプレートメイルは2度と日の目を見る事は無かった……



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