表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

323/2100

 たわいない話


「紛らわしいからって、私の呼び名がアイからアンに変わったんですよね。それなら逆でも良かったんじゃないですか?」


 ドラゴンの化身のアンが僕に言いつのる。


 僕は今、ソファで本を寝転んで読んでいた所だ。その上にアンが覆い被さるようににじり寄ってくる。


 近い近い!こいつはぱっと見美少女なんだから、余り近くに寄って貰うのは困る。なんとなく意識してしまう。僕は必死で変な所触らないように押しのける。こいつはギリギリノータッチの範疇だ。人外だし。


 ん、押しのけるために触った肩が布の感触じゃない?なんかすべすべしてる。


「おい、お前、また服着てないんじゃないか?それ魔法の服だろ!」


「あ、ばれました?けど、私は進化して下着だけはつけてますよ、なんて言いますか、最近暑くなってきたじゃないですか、私、寒いのも苦手なんですけど、暑いのもダメなんですよ。最近、マイ姉様だってご主人様が居ない時は下着でウロウロしてますよ。現に今だって」


 僕は何気なくマイを見る。マイもソファに寝っ転がって読書している。そういえば、最近マイはアンと同じような緑のワンピースを着ている事が多い。ということは……


「マイ、もしかして、お前も魔法の服を着てるのか?」


 よく見てみると不自然だ。マイの着ているワンピースには服のしわが全く無い。


「ごめんなさいザップ、あたしも暑いのは苦手なの。だから、アンちゃんにお願いして幻の着衣の魔法教えてもらったの……」


 なんと、僕は下着だけの美少女2人にいつも囲まれていたのか……

 けど、見た目的には服を着ている訳で、なんか複雑な気分だ。


「まあ、それはおいといて、呼び名の話でしょ。そうね、それじゃ、逆でいってみよーか?じゃあ、アンちゃんはアイちゃんって呼ぶとして、あたしの名前はなんて呼んで貰えばいいかなぁ?」


 マイは本から目を離して僕を見る。マイをマイ以外で呼ぶ?そんなの思いつかないな。必死で考えてもロクでもないものしか思い浮かばない。首狩り族とか猫耳娘とか……


「ザップー、なんか考えてみてよー。じゃあ、マイとアンだからマンとアイでいってみる?それともマイマイがいい?」


 んー、『マン』って呼ぶのはなんか語呂悪いよな。かと言って『マイマイ』って僕が呼んだらなんかキモいしな。それに何か、西方語で『私のマイ』って言ってるみたいでなんかこっぱずかしい。西方語で一人称の変化型は確か、アイ、マイ、ミー、マインだったよな。


「それじゃ、ミーでいいんじゃないか?」


「え、ザップなんで知ってるの?あたしの子供の時のあだ名はミーちゃんだったのよ」


「たまたまだよ」


「じゃ、これから、あたしはミーで、アンちゃんはアイちゃんね、間違った人が今日のごはん当番ね!」


 そして今日は僕がごはんを作る事になった。

 よく考えてみると、マイとアンに比べて、僕が名前を呼ぶ回数が倍だよな。


 やっぱりしっくりこないと言う事で、呼び方はもと通りになった。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ