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 迷宮の守護者


 みやびです。ドラゴンの化身アン登場時の修正をしていたら、アン目線のお話を書きたくなったので投稿です。


 キーン!キーン!キーン!


 何か不快な音がする。うるさいな私はまだ眠いのだ。


 キーン!キーン!キーン!


 まだ不快な音が止まらない。何なのだ、わざわざ私を起こそうとする馬鹿がこの世の中にいるのか?


 面倒くさいがその音の源を確認するために私はゆっくりと歩き始めた。


 私はドラゴン。ここの守護者、来た者を倒す。それだけだ。


 私の前には奇妙な生き物がいた。猿か?猿なのか?それにしては体毛が少ない気がする。

 まるで獅子や豹という動物みたいなしなやかな筋肉の隆起がよくわかる体に、頭と顔には薄く毛が生えていて、体毛はほとんどない生き物だ。

 姿形からみて野生動物だろう。飼われている動物には無い尖った風格がにじみ出ている。

 そう言えば昔、皮膚病にかかって毛が抜け落ちた動物を見た事がある。猿の一種が不衛生な環境でその手の病気に冒されているのだろう。

 もしかしたら人間、いやそんなはずはない。人間は服とか鎧とかを身を守るために着用するものだ。人間には知恵があるから私の前に裸で出て来るはずがない。

 よく見ると、その猿は手に刺の付いた鉄球みたいなものを持っている。あらかたどっかで拾ったのだろう。あれで壁や地面を叩いて遊んでたのだろう。


 しょうが無い。脅かして追っ払うか。人間は倒すという契約だが、動物は含まれてない。


「グオオオオオオオーッ!」


 私は声に魔力を込めて天を仰ぎ叫ぶ。こうすると音に恐慌の効果が付与されて、大概の生き物は竦んで動けなくなった後逃げ出す。


 む、おかしいな、猿は逃げないし怯えても居ない。


 猿はジリジリと鉄球を構えたまま後に下がる。


 そう言えば、なんかコイツをどこかで見たような?


 猿は通路の中に下がって行った。私はそれを追う。


 そうだ。思い出した。あいつはこの前来た奴で私が消し炭にしたはず。纏っている雰囲気が変わり過ぎていて解らなかった。前は痩せて顔色の悪い弱そうな奴だったのに変わり過ぎだろう。何を食べたらそんな短時間で変われるのだろうか?

 人間の成長は早すぎる。危険だ。私の前に全裸で現れるような歪んだ感性の持ち主だ。もしかしたら何らかの力を持ってるのかも知れない。


 ゴオオオオオオオオーッ!


 私は自慢の炎の息を放つ。今回は最初から全力だ。私は何故かは忘れたが同朋達よりも遙かに長い間、息を吐き続ける事が出来る。十分に吐き続けた後、息を吸い込む。猿人間には悪い事したな。


 私は目を見開く。


 そこには猿人間がいた。先ほどと全く変わらない姿で!


 私に向かって跳躍してくる。


 額に激痛が走る。




『アイローンボー。今までありがとう。これで契約は終わった』


 頭の中にご主人様の声が響く。そうだ、私の名前はアイローンボー……



 私の意識は闇に落ちていった。古い契約が破棄されて自由になったのを知るのはこの後の事だ。



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