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 古竜


「アイローンボー、お前はまだ幼過ぎる」


 アダマックスは私の頭を軽く撫でると、背を向けて歩き去った。銀色の長い髪を風になびかせて。


 アダマックスは待っていた一団に合流する。

 青い髪のシルメイス、金髪のゴルドラン、その2人の名前は思い出せたけど、後の数人は思い出せない。


「お前達とはたもとを分かったが、今回だけは協力してやる」


 金髪で筋骨隆々の美丈夫の神竜王ゴルドランに勝るとも劣らない、黒い髪に巨躯の男がどこからともなく現れてその一団に加わる。


 あれは、黒竜王オブシワン、魔法に特化した権能をもつ私達の敵。闇の力に取り憑かれた者だ。先日ご主人様が地中深く封印した奴だな。


「おめーの事は許してないし、俺はお前が気に食わない。だが、今回だけは一緒に戦ってくれ。敵が敵だからな」


 神竜王ゴルドランは黒竜王オブシワンに手を差し出した。


 黒竜王オブシワンはその手をはたく。


「私は貴様達と馴れ合う気はない。ただ今回は敵が一緒というだけだ。この戦いの後は、貴様を闇に葬ってやる」


 低い抑揚のない声で滔々とオブシワンは語る。


「相変わらず陰気な奴だ。ああ、要望通りこの後戦ってやる。また勝つのは俺だけどな」


 ゴルドランは猛獣のような笑みを浮かべオブシワンを一瞥すると歩き始めた。


 私は知っている。この後彼らは戦いに赴き、誰1人として帰って来なかった事を……


 

 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 私の名前はアイローンボー、最近仲間内ではアンと呼ばれているアイドル枠のプリティなドラゴンだ。


 黒竜王オブシワン、銀竜王アダマックスという封印されていた古竜に出会って、一生懸命、それについて思い出してみた。そして、心に去来したのがさっきの記憶だ。


 確かみんなで何かを倒しに行くって言っていたのだが、それが何か思い出せない。いや、思い出したくないのかも知れない。


 確か、私は2代目のアイローンボーで、そこら辺の経緯は思い出せないけど、私は幼かったので一緒に連れて行ってもらえなかったのは覚えている。まあ、私が行ったとしても結果は変わらなかったと思うけど。

 確か、戦いの結果は相打ちで、その敵を倒した代わりに原始の古竜たちはいなくなった。そして、その名を冠する神にも届く古竜魔法だけが残った。確かそんな感じだったと思う。


 私の名前を冠する魔法もあるはずだけど、どうしても使い方が解らない。神竜王ゴルドランなら知ってると思うけど、何処にいるのか解らない。


「アンちゃーん。ご飯よー!」


 マイ姉様の声がする。


「はーい、今行きまーす」


 私は駆け出した。古竜の事はおいおい思い出したらいい。今はまずはご飯だ。マイ姉様のご飯は最高だから冷める前に頂かないと!

 

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