やり忘れた事
「ザップ、ここでひとまずお別れだね。僕は魔道都市に残らないと」
ラパンが僕に手を振る。そうだよな、一応お姫様だもんな。ラパンにはいろいろ聞きたい事があるけど、それは後ででもいっか。
「あたしも、ラパンについて行くわ。私達一蓮托生ってやつだから」
妖精ミネアも魔道都市に残るみたいだ。またすぐに会えるだろう。
「ザップさん、私もしばらくお別れですね」
袋を着ている導師ジブルも残るのか。街に入るのに袋は恥ずかしくないのかと思ったけど、まあジブルだし問題ないだろう。
「また、あとでな」
僕たちはラパン達に別れを告げて、ポータルに入ろうとして踏み止まる。危ない危ない忘れるとこだった。
「ミネア、世界の魔法はまだいけるか?」
「どうしたのよザップ、もう無理に決まってるじゃない!あたしはくたくたよ、魔力もすっからかんよ、寝ないと無理ね!」
むー、それは困った。
「マイ達は先に帰っててもいいぞ、悪いがリナは残ってくれ、さっき埋めた黒竜王以外の黒竜を発掘して元に戻さないと」
「あっ、そうよね、ミケたちを助けないと」
マイも忘れてたみたいだ。黒竜王がインパクトでかすぎて、僕も雑魚黒竜の事は忘れかけてた。
「多分、王城のどっかに魔力全快のポーションがあると思うからもってくるわ。ラファ姫様行きましょう」
ジブルとラパンと妖精は魔道都市に向かった。僕たちは手持ちぶさたなので、地べたに座ってみんなで収納から出した担々麺を食べながら、ジブル達の帰りを待った。久しぶりの担々麺は美味しかったし、みんなにも好評だった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「どっせーい!」
穴から這い上がると最後の黒竜をラパンが討伐していた。
黒竜を埋めた所をまた収納で掘り返して、僕とミネアとデルとアンとリナはドラゴンがうようよの穴に飛び込んだ。
デルにはミネアをもっててもらい、穴の中でミネアにマテリアルワールドを放って貰った。デルにミネアを外に投げて貰い、分かれた黒竜と騎士のうち騎士を助け出し穴から放りだした。そして、シャリーとミカには騎士たちを癒してミノタウロスの腰巻きをわたしてもらった。
あとは黒竜討伐。穴の中の怪力メンバーは黒竜たちを穴から放り出していって、地上メンバーは黒竜の掃討。なんだかんだで、みんな帰らずに黒竜討伐に残っている。僕たちが全ての竜を穴からだして、上に上がったら少し位ドラゴンは残ってるかと思ったけど、今、ラパンが最後の一匹を叩き潰したみたいだ。当然ながら、悲しい事にドラゴンブレスを封じるためにみんなでナディアを讃える歌を歌っている。
そして、再び、ワープポータルに向かう。
「それじゃ、やっと今度こそは、また、後でだな」
モンキーマンスタイルの魔法騎士達と、ラパン達に見送られて、僕たちはポータルに足を踏み入れる。魔法騎士たちの服をもってくる所までは頭が回らなかった。国王達も同じ服装だったらしいので、もしかしたら魔道都市でこの恰好が流行るかも。そんな事を弱った頭で考えながら転移した。