石化の呪い
「ザップ・グッドフェロー、なぜお前だけ石になってないと思うか?お前にはやって欲しい事がある。取り引きしようではないか。お前1人で、聖教国を滅ぼしてきたならば、仲間の呪いを解いてやろう。他人の命より、自分と自分が大切にする者を大事にした方がいいのではないかな?」
肉塊の中から浮かび上がったアカエル大公の顔が僕に話しかける。徐々にその肉塊は増殖分化していっている。異常だ。この再生能力は異常過ぎる。
「その前に、なんでお前は死なない?」
駄目もとで聞いてみる。こいつ話したがりみたいだから、もしかしたら答えてくれるかも。それに会話からこいつを倒す糸口が見つかるかもしれない。
ふと、思う。もしかしたら、こいつは時間稼ぎしたいのかもしれない。僕を攻撃しなかったのではなく、攻撃出来なかったのでは?
「なんだ、そんな事か、私は闇の力で回復している」
あ、会話に応じてくれそうだな。という事は実は肉塊はいっぱいいっぱいなのでは?
「闇の力は全てのものを止める力。闇は止み。光を止め、音を止め、命を止める。止めた時に溢れ出た力それが私の糧になっている。闇の中にいる限り、私は無敵だ。そして、神も止めて、闇を奉じる新秩序を樹立する」
なんか、訳の解らない事を言ってる。さすが肉塊、どっかしらバグってるのだろう。まあ、要は暗闇の中で再生するという事か?空には朱の明星が見えている。夜が明けたらこいつの超再生能力も弱まるかも。
「おしゃべりはここまでだ。石になるか、私の走狗になるか、好きな方を選べ」
アカエル大公の目から白い光が出て、僕に突き刺さる。何も起こらないが、僕を包んでいた金色の光が弱まった気がする。
「さすが、素晴らしい加護だな。けど幾つ耐えられるかな」
再び大公の目から出た光が僕に迫る。収納に入れようとするが、すり抜けて僕に刺さる。また、金色の光は弱まり、微かに僕を覆うだけになった。
「我が名は、暗黒竜王オブシワン。我が権能は不可避な魔法。そんな子供だましでは防ぐことは出来ない」
聞いてはいたけど、魔法の必中、厄介だ。何かで打ち落とせないのか?
再び大公の目から光が放たれる。僕は収納から出したハンマーでそれを凪ぐ。光はハンマーを素通りして僕に突き刺さる。僕を覆っていた金色の光は完全に無くなった。
「無駄だよ、石化の呪いの対象は生き物だ。もっとも、なにか生き物を盾にしたら防げない事はないがな」
徐々に肉塊は竜の姿を取り戻しつつある。
万事休す。どうする。どうすればいいのか?
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