第三話 荷物持ちドラゴンに遭遇する
時間が無い中、あまり見直さずに勢いで書き上げてます。
誤字脱字が多いと思いますが、マメに手直ししていきますので、よろしくお願いします。
扉を開けると、そこは幅が5メートル位の通路だった。奥は見えず、10メートル先位までは壁にならんだ松明に火がついていて、辺りを暖かい光で照らしている。
僕はいつでもすぐに逃げ出せるように、踵を上げて少しずつ前に進む。進むとそれにつれて、前の方の壁の松明に火が点き辺りを照らしていく。多分、なんかの魔法だろう。火がパチパチ爆ぜる音に、びくびくしながら歩いて行く。
しばらく歩くと、開けた所に出た。通路から出ると、通路の時と同様に、一定間隔に並んだ地面に設置された篝火が辺りを照らしている。幅が通路の倍より広いようだ。来た所以外の三方向は、奥が見えず、闇が広がっている。
運が良ければ、この篝火に沿って行けば、上に戻る階段を見つけられるのではないか? 淡い期待を持ちつつ歩く。
グルルルルーーーッ!
グルルルルーーーッ!
前方から、何か低い音が聞こえてくる。なんかの動物の鳴き声みたいだが、襲われたとしても、エリクサーを沢山持ってる事だし大丈夫だろう。
そう思いつつ進むと、前方になんだか小高い丘みたいなものが闇に浮かんで見えてきた。あと、なんか焦げたような臭いもしてくる。
できるだけ音をたてないように、じりじり少しづつ歩く。近づくと、前方にあるものの全容が見えてきた。まじかよ!
ドラゴンだ!
巨大なドラゴンだ!
ドラゴン、巨大なトカゲのような体にコウモリの皮膜のような翼。その鋭い爪は鉄を切り裂き、強靱な顎は鋼を噛み砕く。さらにその大きな口からは炎を吐き出し、あらゆるものを燃やし尽くす。全身は鉄よりも固い鱗に覆われていて、生半可な攻撃では、毛ほどの傷も与えられない。
世界の最強の一角であり、出会った者には等しく破滅が与えられると言われている。
僕は幼い頃から冒険者に憧れていた。いつかは竜を倒せるような英雄になりたいと思っていたけど、まさかこんな形でドラゴンに遭遇するとは……
選ぶ道を間違ってしまった。相手が悪すぎる。
僕は踵を返し、元来た方へ向かう。
慎重に、慎重に音を立てないように気をつける。
緊張で口のなかはカラカラだ。
震える足に力を入れ前に進む。
ズシャーッ!
僕は何もない所で躓き、盛大に転倒してしまう。
いつもそうだ。ここ一番、絶対ミスしてはいけないと思った時に僕はミスする。
自分自身の情けなさに涙が溢れそうになる。急いで立ち上がり後ろをみると丘のような巨体が動き始めたのが見える。
「グォオオオオオオオオッ!」
竜の咆哮が辺りの空気を震わせる。
僕は心臓を鷲掴みされたような感覚に襲われる。恐怖で思うように動かなくなった足をもつれさせながら、もと来た通路の方に走り出す。
なんとか通路に戻り後ろを振り返ると、ドラゴンはその巨体ゆえに通路には入ってこれない。
助かった!
安堵に胸をなで下ろすのも束の間、通路の入口にドラゴンの巨大な顔が見える。その口が開き、中に炎が渦巻く。
ドラゴンブレスだ!
高位のドラゴンはその口から殺傷能力の高いブレスを吐くって聞いた事がある。
僕は力が抜けて、その場にへたり込む。小刻みに揺れる足には力が入らなくて立ち上がれない。
必死に逃げようとするが、腰が抜けてしまった……
ドラゴンの口から放たれた渦巻く炎がゆっくりと僕に近づいてくる。
もう駄目だ……
そう思った時に、ふと閃いた。
エリクサーもしまえるなら、ドラゴンのブレスもしまえるのでは?
僕は右手を突き出してドラゴンのブレスを収納に入れてみた。
いける!
右手の先で炎が消えている。
そう思えたのだが、しばらく経つと取りこぼした炎とその熱の対流で温度が耐え難いものになっていく。
左手で頭の上からエリクサーをかけてみる。熱いし痛いけど、なんとか生きている。服は燃え落ち、髪の毛を含む全ての体毛も燃え尽きてしまった。息をするたびに胸が焼けるように痛い。意識が飛びそうになるのをこらえながら、この地獄から解放されるのを待ち続ける。永遠にも思える苦痛の時間を過ごし、やっと解放される。
僕はその場に崩れ落ちた。
ドラゴンの足音が遠くなっていく。
助かったのか?
ドラゴンの足音が全くしなくなるのを息を殺して待って、物音を立てないように立ち上がり、そろそろと僕はエリクサーの泉の部屋へと戻っていく。