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 魔道都市アウフの騎士


「フウッ!」


 大きく息を吐くと僕は収納から出したエリクサーを浴びる。全身筋肉断裂で全く動けなくなっていた。危ねー、紙一重だった。あと少しでスルメになる所だった。黒竜が低空飛行で顎で掠める攻撃をとったので助かったけど、お腹で押し潰しとかされたらマジやばかった。


 石畳から足を引き抜き走る。


「オオーッ!すげーよ!蛮人!」


 道沿いの建物から声をかけられる。


 魔法の明かりとかが点灯してそこそこに明るくなっている。


「キャー!蛮人!」


 今のを見てたと思われる女性からも声が飛ぶ。少し照れるな。


 僕は手を軽く振り城門に向かって走る。まだ終わった訳じゃない。むしろ始まりだ。それに仲間たちが心配だ。誰もこっちに来ないのはおかしい。


「バンジーン!」


「バンジン!」


 走る僕に声が聞こえる。どうもこの街での僕の名は『蛮人』に決定したみたいだ…

猿人間よりはマシか?


 ほどなく城門をくぐる。暖かい蛮人コールからは解放させる。さすがにドラゴンがいるのについてくる馬鹿はいないようだ。


 星明かりの暗い荒野を見渡す。ありがたい事に洞窟暮らしが長かったお陰で少しだけ夜目が利く。なんか動くものがある方に走り出す。


 近づくにつれて、剣戟の音が聞こえる。だんだん様子が見えてきて、僕の仲間黒装束と煌びやかな鎧の騎士たちが剣を交えている。僕は一気に距離を詰める。


『お願いです。殺さないで生かして捕らえて下さい。操られているだけなんです』


 風に乗ってスケルトン導師ジブルの声が聞こえる。操られている?よく見ると、騎士の中には一緒に旅した騎士ミケが……

 どおりでただの騎士に苦戦してるわけだ。マイやアンならすぐ片がつくはずだけど、一撃必殺だからな。


「ザップ兄様、服が変わってる。ということは目が見えないですね。光よ!」


 魔法使いルルの声がして、上空に大きな光の玉が現れ辺りを照らす。助かった。同士打ちは免れる。


 ハンマーをしまって乱戦の中に飛び込む。さすがに魔道都市の騎士を殺すつもりは無い。けど騎士の数が多い。20人位いるし中々強い。ラファを負ぶってジブル袋を持っている誰かを痩せてる誰かが守っていて、あとは乱戦だ。騎士は拳打や斧の腹で吹っ飛ばされてもすぐに立ち上がってくる。僕も騎士に素手で死なない程度の打撃を与えて吹っ飛ばしてやるが、すぐに起き上がる。痛みを感じていないようだ。


「アンデッドか?」


『違います。生きてます』


 ジブルが即座に答える。僕の目の前に騎士ミケが立ちはだかる。さすがにこいつは殴りにくいな。


「全ての汚れを祓いたまえ!リフレッシュ!」


 シャリーの声が響き、辺りが暖かい白い光に包まれる。


『状態異常完全回復魔法ですね、けど、刃向かって来てます。騎士達は自分の意思で戦ってます。皆さん、倒しちゃって下さい…』


 ジブルの声は悲しそうだ。けど、やるしかないか……


 僕はミケの剣をかわす。こいつが最初っから僕たちの敵だったとは思えない。


「ザップ!黒竜!」


 マイの叫び声がする。黒竜?辺りを見渡すと黒い小山のような巨体を捉えた。


「ゴオオオオオオオオオーッ!」


 そこに開いた真っ赤な口に黒煙を含んだ炎が見える。腐食の息ロトンブレス


「逃げろっ!」


 僕は騎士ミケを突き飛ばして、大きく横に跳んだ。


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