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 交渉決裂


「ふざけるな、我ら魔国は断固貴様ら黒竜を殲滅する。先の大戦の事を棚に上げる気か!出でよゴッドスレイヤー!」


 リナは前に出てどっからか出した大剣を構える。


「私も黒竜と馴れ合う気はないですね」


 アンも前に出る。


 僕はどうすればいい。


 考えるまでもない。


 答えは決まっている。


「お前と手を組む?寝ぼけてるのか?聖教国?神?そんなの知るか馬鹿!」


 僕は大きく息を吸い込む。


「てめぇは、やっちゃいけない事を3つした。まず一つ目は、おれの腹を串刺しにした。めっちゃ痛かったんだよクソが。2つ目は俺に女の子ライフをおくらせた。目の前に可愛い女の子達がゾロゾロいるのに、何も出来なかった気持ちがわかるか?それと最後に、なんかいちいちお前はムカつくんだよ。黒竜とかいうくっさい黒トカゲと合体したくせに横着なんだよ。お前をぶっ倒すにはそれで十分だ。死ね!クソ!ハゲがっ!」


 僕は怒濤のごとく言葉を吐き出すと中指をおっ立ててやった。臭い、ハゲ、馬鹿とかヘイトを稼げる言葉を出来るだけちりばめてみた。他になんかいい言葉がないか考える。


「肥だめうんこドラゴンがっ!」


 なんか品が無いだけでいまいちだな。


「ほう、そんなに死にたいのか。良かろう。望み通り地獄に送ってやる!」


 大公は立ち上がる。良かった単純な奴で、何がささったのかは解らないけど、怒っとる。怒っとる。良い感じだ。


「地獄に行くのはお前の方だ。ばーか!取り敢えず撤退だ逃げるぞ!」


 僕はマイの方を見る。マイはすぐに頷く。


「街の外まで走るわよ。ザップ、気を付けてね……」


 マイに率いられ仲間たちは僕の意図を汲んでくれてか元来た方に走り出す。僕もこの後、街に被害を出さないため、一直線に大通りを抜ける。


「オオオオオオオオオオーッ!」


 アカエル大公の口から人では出せない耳を震わす声が溢れる。


 大公の体から黒い靄が溢れ出て巨大な影をなし、徐々にその輪郭が現れる。


 つやのない黒い鱗に覆われた巨体、コウモリのような皮膜のついたその巨体に見合わない少し小さな羽。角の生えた大きなトカゲのような頭と長い尾。ドラゴンと相対するのは初めてではないが、いつも若干の畏怖を禁じ得ない。


 黒竜。巨大な黒竜が僕の前に屹立している。


「グゥオオオオオオオオオーン!」


 黒竜は現れるなり咆哮を放つ。その質量のある音が僕の体を震わせる。いつも通り威圧効果があるやつだ。もっとも僕の仲間は誰1人怯まないはずだ。


「かかってこいやー!おらー!」


 僕は収納から出した斧を投げつける。ノーコンな僕でも的が大きいので外れない。乾いた音がしてはじかれるが、目的はヘイトを稼ぐ事だ。


 ドラゴンがゆっくりと僕の方を見る。そのギラギラとした双眸に一瞬身が竦む。デカイ。前に見た時よりも明らかに大きくなっている。


 しばし対峙して身を翻し走り出す。少しの間だったけど、みんなとの距離は取れたはずだ。


「ついてこいでくのぼう!」


 僕はまずは一目散に謁見室を出た。


 

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