金色の祝福
「おい、シャリー、お前の祝福はこんなものか?」
僕はシャリーの目をじっと見つめる。彼女の魔法はもっと強力だったはず。
全員叩き起こしたあと、僕たちは円座で座って反省会だ。みんなそう簡単に起きなかった。
ナディアの歌が強烈すぎたのもあるが、シャリーの魔法弱すぎだろう。
「それは多分、あたしのやる気の問題だと思うわ。掻っ攫われて、人類の敵になって聖なる力が弱くなったんだと思う」
眠そうにあくびしながらシャリーが答える。
「じゃ、どうやったらお前やる気出るんだ?」
「そりゃ、決まってるじゃない。お金よお金。現生積まれたら、いや、お布施をいーっぱい貰えたらやる気出まくりよ!」
そんなのでいいのか。
「手を出せシャリー」
僕は収納から大金貨を出してシャリーの手の上に置いていく。10枚で目がらんらんとしてきたのでそこで止める。
「ありがとうございます。貴方に神の祝福があらん事を。行きます。マキシマム神の祝福!」
シャリーの手から出た金色の光が僕たちを覆う。さっきは白い光だったのに今度は黄金だ。金の力か?
「ナディアちゃん今度はほどほどにね!」
マイがナディアの肩を叩く。正直誰が誰か解りにくい。みんな黒装束で同じに見える。
「いっきまーす。ルーララ、ルーララ、るー♪」
おお、今度はちゃんとレジスト出来てるみたいだ。
「しゃー、では、気を取り直して行くぞ!」
僕たちは再び走り出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「オオオオオッ!」
僕は大きな城門の扉を押す。
ギギギギィーッ!
結構大きな音を立てて扉は開く。大丈夫だろうか?誰か起きるのでは?
暗視能力が今はあるので街を取り囲むすべすべの緑色の城壁もよく見える。多分街中で魔法が使えないのはこれのせいだと思うけど、ぶっ壊したりはしない。人類の敵認定に箔がつくだけだからな。
門をくぐり街に入る。ここからは魔法は使えない。けど、僕の収納は問題ないし、みんな収納の管理者登録してあるから、自由にタブレットを出して収納の中身を使える。要は全員瞬間完全回復能力を持っているようなものだ。ガチチートだ。
城門から城までは大通り一直線で、僕らは音も無く走っていく。この黒装束もやばい力もってるな。これ欲しいな。あとで幾らか金額聞いてみよ。そんなことを考えながら走る。辺りからは全く音がしない。遠くからルーララ聞こえてくるだけだ。
程なくして、城の入り口に着く。城壁に囲まれていて城門は閉じられている。門の傍らには衛兵が寝息を立てている。
さっきは勢いで門を押し開けたけど、今度は音も無く収納にしまう。
「……デル、1番強い奴のいる所にナビ頼む……」
ついつい小声になってしまう。
「……了解です……」
デルも小声だ。よく見るとデルはジブル袋を持っている。ホップという小人種族は嫌いじゃなかったのか?それにジブルは役立たずだから置いてきても良かったのに。
デルを先頭に僕たちは城の中に入った。