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 人類の敵


 僕たちは地べたに座り、話し合った作戦をマイにまとめてもらう事にした。


「それでは、作戦を確認するわね。まず、シャリーに祝福の魔法をかけてもらってナディアに催眠効果のある歌を歌って貰います。その歌をルルに風魔法で魔道都市全体に届くように拡声してもらいます。これで街の住民と魔法耐性の低い者はぐっすり眠って起きないはずです。ナディアとルルにはアンジュとミカが護衛について街の外にいてもらって、あとのみんなは突入。ザップ、あたし、リナが前衛、アン、シャリー、デルが後衛で、アンにはラファを負ぶって貰うわ。一気に街を抜けて城に突入してアカエル大公を撃つ。奇襲で倒せなかったら、上手く街の外に誘導して出来れば市街戦は避けたいわ。都市の中では多分魔法使えないし、寝てる人達に被害は出したくないわ。作戦は以上だけど、なんかいいアイデアあったら言って欲しいわ」


 まあ、ナディアの歌で街の住民を眠らせる以外は僕の計画と大差ないが、やはり計画で不確定なのは、アカエル大公に遭遇してからだ。戦いになったら奴は黒竜になる可能性が高い。そうなると街中で竜と戦う事になる。市街戦になると住民に被害が出るかも知れない。甘いかもしれないけど、それは避けたい。アカエル大公を街から引きずり出す。これが上手くいかなかったら撤退も視野にいれよう。


 あと、もう一点。


「街の住民を眠らせる。王族に夜襲をかける。場合によっては僕たちは国際指名手配される犯罪者になるかもしれない。ここまで助けてもらってありがたいが、それを避けたい者は作戦から抜けてもらっても構わないよ」


 僕はみんなの意志をもう一度確かめる。さすがに僕のせいで犯罪者になって指名手配書に顔がのるのは厳しいからな。


「それについては問題ない!」


 黒装束を羽織ったリナが言い放つ。


「魔道都市の周りの魔物を掃討する際に、正式に魔王国アシュガルドは魔道都市アウフに宣戦布告しておる。『魔物を集め周辺諸国を脅かす都市国家アウフを誅する』という文面を他の都市国家と王国、帝国、聖教国に送っておるぞ。という訳でお前ら全てわらわのいや魔王国アシュガルドの騎士だ。その旨を伝える騎士目録も文書に添付しておる。お前らは犯罪者にはならぬ。犯罪者というよりお前らがなるのは人類の敵だからな」


 リナは手頃な岩にゆっくりよじ登る。


「では征くぞ、アシュガルドの精鋭たちよ。戦陣の間は詐欺を厭わず。どんな事をしてもいい。思う存分魔道都市アウフを蹂躙し尽くせ!」


 リナは右手を天にあげ吼える。リナの言葉は確か誰の言葉か忘れたけど、昔の人の言葉でどんな事してでも勝てばいい的な意味だったと思う。

 リナの事を過小評価しすぎていた。ああ、このあと国王ポルトに頼んで色々と諸国に説明しないと人類の敵の称号を手に入れて魔国行き確定だよ。ん、リナの狙いはそれなのか?


「ああ、人類の敵、人類の敵、職位にあぐらかいて左うちわの予定が……やったるわ、大神官改め暗黒神官じゃい!シャアー!」


 頭を抱えて蹲っていたシャリーは立ち上がると気合いを入れた。闇落ちしたな。そうだねシャリーはもう聖教国の土踏めなくなったよね。少し可哀相だ。強く生きて欲しい。暗黒神官誕生だ……


「じ、人類の敵上等!我らは我らに敵対した暗黒竜を倒すのみ!」


 アンジュが剣を抜き掲げる。自棄っぱちだね。声震えているし。他の3人も手を突き上げる。頑張れ魔王の騎士。


「あたしはザップの仲間だから、ザップが決めた事に従うわ」


 マイはマイペースだ。人類の敵認定は気にならないみたいだ。


「じゃ、ご主人様とっとといきましょう」


 アンもいつも通り。元々人類の敵みたいなものだからな。


「じゃ、行くぜ!突撃だっ!」 


 僕たちは鬨の声を上げながら魔道都市アウフの方に駆け出した。



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