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 隠密行動


 僕はまだ真っ暗ななか目を覚ました。昨日、記憶が無くなるまで、とはいっても2杯だけだけど、お酒を飲んだ割にはスッキリしている。多分この感じから寝たのは6時間くらいで、寝たのは10時くらいなので今は朝の4時くらいではないだろうか。

 まずは身を起こして目が闇に慣れるのを待つ。

 今日は月が出ていないので、微かな星明かりを頼りに歩き始める。太古の迷宮を思い出す。ミノタウロスのいた階層は暗い所はとても暗かった。ビクビクしながら歩いていたな。

 僕は音を出来るだけ立てないようにして家を出る。

 連れて行くのはリナとシャリー。まずは裏口からマリアさんのお店に入って2階の客室を目指す。そこには多分リナとナディアが寝ているはずだ。

 階段に着き、出来るだけ壁と床の継ぎ目を歩くようにする。建物の中で出来るだけ音を立てないように歩くには、継ぎ目をゆっくり踏みしめると床の伸縮が少ないからか余り音がしない。

 なんでこんな事を知ってるかというと、子供の頃部屋を抜け出して遊びに出る時に発見したのだ。


 ゆっくり、ゆっくり音を立てないように進む。それでもどうしても少し床が軋む音がする。デルを遠ざけられたのは良かった。彼女がいたら一発で気付かれただろう。


 けど、僕は今いったい何をしているのだろう?

 リナを起こしに行っている訳だけど、もしここで誰かに遭遇したら、何をしていると思われるのだろうか?


 うん、間違い無く誰かに夜這いをかけようとしてるようにしか見えないな……


 ああ、こんな時に妖精のミネアがいたらもっと楽に事が運ぶのにな。


 ミネア……


 ミネアーッ……


 心の中で叫んでしまう。最近ゆるゆるの涙腺が緩む。


 ギギーバタン!


 あ、扉が開いた…


 ここはマリアさんの寝室の前だ。


「だ、誰かいるの……」


 マリアさんの声がする。目の前には多分マリアさんが。


「うにゃーお……」


 我ながら良く出来た猫の鳴き声だと思う。


「キャ……」


 僕は咄嗟に駆け寄りマリアさんの口を塞ぐ。


『すみません、僕です。ザップです』


 僕はマリアさんの耳元で囁いた。


『すみません、やむにやまれぬ事情がありまして、声出さないで貰えます?』


 こくこくっ!


 マリアさんが頷いたのを確認して手を離す。そして僕は下を指さして、2人で抜き足差し足1階へと向かった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「そうなのね、もうそりゃーびっくりしたわ。こんなオバさんに誰かが夜這いしに来たかと思ったわ。すこしドキドキしたけどね」


 僕たちは明かりをつけて、レストランの机で会話している。


 全て素直に白状したら、マリアさんは笑っておどけてくれた。オバさんって本人は言ってるけど、僕は十分にマリアさんは魅力的だと思う。まぁ、僕的にはお母さん枠だけど。


「じゃ、3人だけで出発するのね。ザップさんが決めた事だから何も言わないけど……また、必ず帰って来て下さいね。じゃ、リナちゃんは私が起こして来るわね」


 そう言うと、マリアさんは2階へと向かった。



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