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 ドラゴン解体ショー


「マリアさんただいま!これからドラゴンを解体するんですけど、もしよかったらお店でその肉出しませんか?当然ドラゴンの肉は無料で差し上げますよ」


 僕は帰るなりお店に向かい、お店の夜の準備中のマリアさんに話しかける。


 収納の中の黒竜はかなりデカイ。鱗とかは売るにしても肉はかなりの量になる。世話になったこの街の人々に振る舞っても有り余るほどだ。せっかくなので大恩のあるマリアさんのお店の収入と知名度アップに役立てようと思う。


「ありがとうございます。ザップさん。お言葉に甘えさせてもらいます」


 マリアさんは笑顔で答えてくれる。頑張ろうって気持ちになっちまう。


『もしかして、ザップさんっておば専?どうもマイさんや、アンさんには手を出してないみたいだし……』


 袋からなんか聞こえてくる。袋の分際で何言ってやがる。


「ちがうわ!ぼけぇ!」


 つい、熱くなってしまう。


『じゃ、マザコンなのね。私の事をお母さんと呼んでもいいわよ!』


 ジブルの元の姿と『お母さん』は対局的過ぎる。


「ちがうわ!俺のタイプはマイみたいな美少女だ!ぼけぇ!」


 あ、つい口がすべっちまった……


 恐る恐る振り返ると、マイが赤くなって顔に手をあててくねくねしている。やっちまったな、オイ……


 気を取り直して、ザップハウスの所に行き、ハウスを収納にしまう。うん、広さは充分ある。収納の中から周りに気を付けながら迷宮都市から借りてきた魔道士ギルドの建物であるタワーを出す。少し地震的なものが起こったような気もしたが、それは置いといてとりあえず黒竜の体長より少し高いと思われる階までテラスを飛び移りながら登って行く。いつの間にか辺りは人だかりが出来ている。まあ当然か。


「マイ、黒竜出すから処理たのんだぞ!」


 タワーのテラスから声を張る。下でマイが大きくコクコク頷く。


 ドラゴンの体を頭の中でイメージして、僕の手元に尻尾が来るように出す。修練かレベルアップのお陰か収納はかなり自由が利くようになった。


「うおっと!」


 ドラゴンを出したけどその重量を考えて無くて、あと少しでそのまま手を離して落としてしまうとこだった。もう一度収納にドラゴンをしまって、テラスの入り口に手をかけてもう片方の手でドラゴンの尻尾を掴む。上手くいったけど、なんか建物自身がミシミシいっている。脆い魔道具だな、と言ってもこの建物はドラゴンの重量に耐えられるように出来てるはずはないし、ドラゴンの解体ショーに使われるのは最初で最後だろう。


「では、行きますっ!」


 マイの声が聞こえるが、僕はドラゴンを支えるので手一杯で、何も見えない。


「とうりゃーっ!」


「「おおおっ!」」


 マイの声と群集のざわめきが聞こえるが、僕は何も見えない。しくった。次があるか解らないけど、頑丈なロープとかでドラゴンをくくりつけとけばよかった。


 見たかったな……解体ショー……


「ザップー、おわったわよー」


 程なくして、ドラゴンの解体は終わった。軽くなった尻尾を収納に入れて塔を降りてみると、巨大な肉が金属の受け皿にのっかっている。鱗とか骨とか内臓はマイが収納に入れたみたいだ。


「ザップ、ありがとう」


 マイは僕に礼を言うと群集に振り返り声を張る。


「はーい、今からレストランで調理します。食べたい人は順番に並んで下さいね」


 人々はお店の方に移動していく。


 さあ、宴の始まりだ!

 

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