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 北の魔王を脅かす者


「ザップ兄様、ご無事で。よかったです」


 アンジュが目に涙を浮かべる。こいつも涙腺が緩いな。


「魔法の収納が使えなくなったので、もしかしてラパンの身になにか起こったのではと思いまして、一時撤退してきたところです」


 魔法使いのルルも若干涙ぐんでる。心配させてたんだな。少し嬉しくて、あとは反省する。こんな僕でもみんな心配してくれてたんだな。


「心配かけて済まなかった。俺は見ての通り無事だ」


 僕はジブルの袋を手に立ち上がり胸を叩く。リナ、アンジュ、ルルは僕を見て微笑む。不覚にも、こいつら普通にしてたら可愛いのではと少し思ってしまった。


「迷宮都市に突入してやろうと思ってたんだが、ザップが安々とやられる訳がないか。で、ラパンはどうしたのだ?何寝てるんだ?」


 リナは座って眠っているラファ姫を見つめる。そういえばこいつラパンと仲がよかったな。説明に躊躇ってしまう。


『この中で、1番説明が上手で頭が良くて良識人で可愛い私が話しましょう』


 ずだ袋が囁く。


「確かにお前は頭がいいとは思うが、見た目的には1番非常識だと思うぞ」


 つい、思った事を突っ込んでしまう。いかん、話が進まなくなる。


『ザップさん、ひどいですね。けど、私が戻れない時は責任とってくれるんですよね、それにこの後一緒にお風呂ですしね』


「ザップ……責任……お風呂……お前、袋と結婚するのか?わらわよりもそんな袋の方がいいのか?」


 リナが目を見開いてずだ袋を凝視する。


「リナ様、多分袋の中になんか入っているんじゃないですか?多分癒し系の小動物とか」


 魔法使いのルルが腕を組んで僕の方をみる。こいつが腕を組むと大きな胸が強調されるので、ついチラ見してしまった。マイの方を見ると、やはり気づかれたみたいだ……


「ザップ!」


 マイが僕をジト目で見ている。いかん!


「ザップ、隙あり!いただきっ!」


「あっ、リナ、止めとけっ!」


 僕の気がマイにそれた瞬間を狙って、リナが袋を奪い口を開けて振って床に中身を出す。


 カラカラカラカラ!


「い、遺骨?」


 リナは驚き後ずさる。


『遺骨はひどいですー、生きてますー』


 間延びした囁きと共に、浮き上がった骨が足から組み上がっていく。


「「「うぎゃー!」」」


 誰だか解らない悲鳴が響き渡り、リナ達は逃げ去った。


「あ!」


 マリアさんが机につっぷしている。もしかして、気絶?


『な、なにするんですかっ!』


 とりあえず、ジブルの上からずだ袋を被せて中に入れる。しばらくは袋として生きてもらおう。


 まずは、戻って来たリナ達にジブルの説明をして、安全で無害でお馬鹿な事を理解してもらった。不毛だ……



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