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 涙の再会

 分割版『茸使い』1時間毎に本日投稿中です。よろしかったらそちらもお願いします。下にリンク張ってますので。


https://ncode.syosetu.com/n1198gx/


「……ただいま……」


 僕は小さく呟き、店に入る。


「いらっしゃいませ!」


 マリアさんの元気のいい掛け声が聞こえる。僕自身は初めてここには来るが、ラパンの記憶と相まって、懐かしさに包まれる。


 マリアさんは少し驚いたような顔で僕を見て、僕の後ろにいるマイ達を見ると、僕を見つめてにっこり微笑んだ。


「お帰りなさい。ラパン」


 不覚にも僕の視界は涙でにじんでしまう。まさか、マリアさんの口からそんな言葉が出るなんて……

 マリアさんは僕を見るのは初めてのはずだから、普通に接客されると思っていたのに……

 僕は耐えられず駆け出した。


「ただいま!マリアさん!」


 僕は泣いてるのをごまかすため、元気に挨拶すると。マリアさんを抱きしめた。ラパンの時は大きかったマリアさんが今は小さく感じる。年齢的に失礼かもしれないけど、お母さんってこんな感じなのかもな。


「相変わらず、ラパンちゃんって泣き虫ね」


 マリアさんの優しい声が聞こえる。声がくぐもっている。


「マリアさんだって泣き虫だよ。僕は……」


 泣いてないと言おうとするが、声にならない。溢れる涙が僕を邪魔する。


 泣いてる。泣いてないなんて、今はどうでもいいや。


 僕たちはしばらく抱き合っていた。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「そう、ラパンちゃんとミネアちゃんが……」


 マリアさんの目に涙が浮かぶ。


 お店で軽く食事をとって、お客さんが居なくなった昼過ぎ、2つテーブルを繋げて僕はマリアさんに今までの経緯を話した。


「マリアさん、俺にはラパンだった時の記憶はあります。けど、遅くなりましたけど、俺の名はザップ。ザップ・グッドフェローです。あと、あちらはラファ、魔道都市のお姫様です」


 僕は椅子にもたれて眠っているラファを指さす。


「ザップさん、ラパンにはお世話になりました。ありがとうございます」


 マリアさんは頭を下げる。何言ってるんだ。感謝してもしきれないのは僕の方なのに。


「マリアさん、頭を上げて下さい。こちらこそ、ラパンを助けてくれて本当に本当にありがとうございます」


 僕は深々と頭をさげる。


「ザップさんこそ、頭を上げて下さい。ザップさんは、ラパンじゃ無いのね………」


 頭を上げると、マリアさんの顔には影がある。僕は何て言えばいいのか解らない。


「ラパンちゃんは、優しい子でいつも少しおどおどしてた。ザップさんの目にはラパンちゃんになかった力があるわ。けど、ラパンちゃんと同じ優しい目。ザップさんの中には今もラパンちゃんがいるのね」


 不覚にも少し涙腺が緩む。そうだ。ラパンは僕の中にいる。


 バタン!


「ザップ!ザップ!ザップー!」


 店にけたたましい声が響き渡る。


「帰って来ると思ってたぞ!」


 入り口には金のビキニアーマーの美少女が立っている。自称北の魔王のリナだ。その後ろから、冒険者の戦士のアンジュと魔法使いのルルが入って来た。



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