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 帰還


「あ、そういえば、忘れてた」


 迷宮都市の中心部を振り返り眺める。街の象徴的な建物だったタワーと墓石が見えなくなって、正直普通の街並みになってしまっている。墓石は迷宮の蓋にしたわけだが、タワーは意味なく僕の収納に入っている。


 僕の視線の先を見てマイが口を開く。


「タワーでしょ、タワー収納に入れたままよね。戻してこよっか?」


「いや、また墓石を戻す時にここに来るからその時にさりげなく元に戻そう。それに、なんか使い途あるかもしれないしな。例えば、黒竜を血抜きするときに吊すのに役立ちそうだ」


 我ながらいいアイデアだと思う。思いつきで言ったんだが、正直ドラゴンを吊せるものは思いあたらなかった。黒竜はしっかり血抜きしないと臭そうだしな。毒吐くし。


『待って下さい、魔道ギルドのシンボルのタワーをそんな事に使うなんて……』


 袋から声が聞こえる。髑髏どくろが喋るのも不気味だが、袋が喋るのもどっこいどっこいだな。


「じゃ、逆に聞くが、お前、他にドラゴン吊して血抜きするのにいいものあるのかよ」


『うう……』


 ジブルは言葉につまる。勝ったな。本当はただ戻るのが面倒くさいだけだけど。


 そうこうしてるうちにセカンドウォールにたどり着き、門をくぐり、マイが蹴破った扉を戻して岩石で補強する。


 ここからサードウォールまでは、結構距離があるし、そこからリナのワープポータルまではさらに距離がある。歩いてたら日が暮れそうだな。


「走るか?」


 僕は振り返る。


「ザップ兄様、多分、シャリーはついて来れないと思います。私とマイ姉様でシャリーとラパンを負ぶって行きましょう」


 デルはまだ、ラパンとラファを混同してるんだな。


「お前達より、俺の方が力あるから、俺が担ごうか?」


 僕の提案にマイがすぐ反応する。


「だーめ!ザップ、女の子の体に軽々しく触っちゃだめなんだよ」


『あの、私も一応女の子なのですけど』


「ジブルは骨だからいいの!」


 かくして、マイとデルはジャンケンして勝ったデルがシャリー、マイがラファを背負う。


「なんで勝った方がシャリーなんだ?」


「それは、あたしの方がラファよりおんぶ心地がいいからですよ」


 シャリーは胸をはる。そうかラファの発育が良くないからか……自分の事みたいで少し悲しい。僕もまだ若干自分とラパンを混同してしまう。


 1番足の遅いデルを先頭にサードウォールの城門まで走り、そこをくぐって、マイが壊した扉を岩で補強する。


 色々あったけど、迷宮都市を後にして、岩に囲まれたリナのワープポータルまで走りその中に入る。


 辺りの景色が代わり、木で出来た建物の中に出る。ここは僕の家ザップハウスだ。家を出ると隣には見慣れた建物がある。


『みみずくの横這い亭』ラパンがお世話になったレストランだ。


 




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