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 眠り姫


『ザップ様、もしかしてその小脇に抱えている方はラファ姫様ではありませんか?すみません、何分なにぶん目が弱くなりまして』


 僕はジブルの目を見る。そこにはぽっかりと黒い穴が空いてるだけだ。


 目、ないよな?


 一応女の子と言うことで、傷つけないようにツッコミは控えておく。


「あ、ああそうだ、ラファだがまだ起きないんだ」


 ラファは僕の右腕の中で、でろーんと手足を伸ばしている。ジブル、よくラファだと解ったな。


 今僕たちは黒竜と戦った部屋の隣の研究施設にいる。運良くジブルに会えたのはラッキーだ。正直、僕たちは誰も魔道には詳しくないのでここに何があるか理解出来ない。ラファなら何か解るかも知れないが、残念な事に起きない。


『ザップ様、私が見た所、姫様はいつ起きるか解らないですね。魂魄転換の魔法は不完全で、姫様の魂はかなり傷ついていると思われます。それが癒えるまで目は覚まさないでしょう』


 ジブルは屈んでラファを多分凝視している。屈み方が内股で女の子っぽい。


「あたしでも魂の癒し方は解らないわ。もし、起きないようだったら聖都に連れて行きましょ、聖都だったらなんとかなるかもしれないわ」


 そういえばシャリーは大神官だったな。もしもの時にはそうしよう。けど、僕の中ではなぜか絶対に目を覚ますだろうという確信がある。なんでだろう?


「それより、ラパンはどうなったのか解んないの?」


 デルが恐る恐るジブルの頭をつつく。もしかしてこの力士エルフもオカルト苦手なのか?


『ラパンって誰ですか?』


 あ、そうだ、ジブルは面識ないな。僕はジブルに転移させられてからの事をかいつまんで説明した。


『私の見た所、魂魄転換の魔法はアカエル大公の呪いのせいで不完全でした。ザップ様の魂はラファ姫様に入ったのですが、ラファ姫様の魂の一部はラファ姫様の体の中に残っていたと思われます。その、ラパンという方は、ラファ姫様とザップ様の魂が融合して出来た自我ではないでしょうか。ですから元に戻った今、ラパンという方はもう存在しないと思われます』


 ジブルの言葉で、マイ、シャリー、デルは堪えきれず涙をこぼす。気づかないうちに僕の頬も涙が伝っていた。


 ミネア、ラパン……


 今の僕があるのは彼女達のお陰だ。


 ありがとう……


 ラパンは僕自身なのでなにも方法が思い浮かばないが、ミネアはどんな事をしてでも蘇らせてみせる!


 僕は心に誓う。


「俺の中に今でもラパンはいる。悲しまないでくれ。みんなが悲しむとラパンもきっと悲しむ。だから、みんなラパンに俺に力を貸してくれアカエル大公をぶっ潰す!」


 みんな大きく僕に頷いてくれた。


 僕自身、悲しさをすり替えてるだけかもしれない。けど、逃げないし、立ち止まらない。やれる事をやるだけだ。ラパンとミネアとそしてラファのために……



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