ボストロル
「神よ、我らに仇なす者に神罰を」
シャリーちゃんはなんか過激な事を言いながら、フロアボスの普通のトロールより一回り大きいボストロルに向かって駆け出す。
「神の呪い」
シャリーちゃんの手から出た白い靄がボストロルを包み込む。ボストロルは緩慢な動きで持ってる金棒を振り上げる。む、新しい奇跡って呪いなのか?言葉的におかしい気が……
「からのー、光よ我らに加護を神聖祝福」
シャリーちゃんの体を暖かい白色の光が包み込む。そして一気に加速すると、ハンマーを振り上げ瞬く間にボストロルに近づく。
「ホーリーライト!」
エンゲージ直前にシャリーちゃんは右手にハンマーを持ち、左手を突き出しその手が眩く光る。目くらましだ!
動きが止まったボストロルの頭にシャリーちゃんのハンマーが突き刺さる。一撃だ。ボストロルはもはやピクリとも動かない。
「うっしゃー!」
シャリーちゃんはハンマーを天に突き上げ勝利のポーズを取る。
自己強化と、多分弱体化の両面バフだ。それに追い打ちで目くらまし、えげつなないな……
多分僕でも今のをやられたら勝てる気がしない。しかも魔法は全て無詠唱、発動前に倒すしかないけど、それに対する勝利のビジョンが全く見えない。
「うーん、魔法も力だけど、戦闘訓練を積んで欲しいのは確かだし、けど、安全に戦ってレベルアップさせるのもいいし……」
振り返るとマイさんが腕を組んで考えこんでいる。口に出しているという事は、僕たちにも意見を求めているという事だろう。
「そうね、マイ姉様、次、一度だけミノタウロス相手に魔法無しで戦って貰って、それから考えるという事でいかがでしょうか?」
デルさんはそう言ってるけど、それって危険なんじゃ?
「はい、わかりました。次は魔法なしでですね、ワクワクします。やっぱりここまでやると手応えなさ過ぎますね!」
シャリーちゃんはキラキラした目で答えている。だめだ、シャリーちゃんも脳筋街道まっしぐらだ。将来嫁の行き手に困るだろう。それは先輩達が証明している。僕の回りは美人さん、美少女さんばっかりなのに誰1人として彼氏いねーし。
僕たちはボストロルのドロップアイテムの赤いポーションを回収して、下に降りる階段を見つけて降りて行く。
デルさんがシャリーちゃんにミノタウロスの恐ろしさを語っているが、シャリーちゃんはらんらんとした目で見ている。びびらせるのではなく、間違いなく期待をあおっている。デルさんも口だけだな。
「あたしたちの武器のほとんどは、『太古の迷宮』のミノタウロスの持ち物だったものよ」
「やっぱり、牛さんってあたしたちの生活に欠かせないものなのですね。神に感謝します」
たわいない事を話してるうちに、階段は終わりに近づいていた。
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