オークキング
新しい短編書きましたので、よろしくお願いします。
題名は、
『最強の茸使い~クズと罵られて崖から落とされて世界から追放されたけど魔界を平定し眷族の魔王と無双します!力を貸せといわれてももう遅い。俺は好きなように生きて行く~』
です。
下のリンクから入れます。
https://ncode.syosetu.com/n3165gw/
「どぉりやー!」
部屋に佇む、大柄なオーク、オークキングを見るなりシャリーちゃんは駆け出した。僕たちも一応それに続く。まぁ大丈夫だと思うが。
シャリーちゃんは、見た目は可愛らしい女の子だけど、残念な事に中身は結構ゲスだ。弱い者に強く、強い者に弱い。まあ、悪い人では無いのだけど。多分、聖教国で若くして大神官という高い位に上る過程で必要な能力だったのだろう。目の前の人物が自分より位が上か下か瞬時に読み取る観察眼をそこで養ったのだろう。
そのシャリーちゃんが走り出したと言うことは、オークキングは自分より下と判断したのだろう。
奇しくもオークキングの武器は四面体にトゲがついた形のハンマー、それを大上段に掲げてシャリーちゃんを迎え撃つ。それに対してシャリーちゃんは下段にハンマーを構える。通常だったら巨躯から振り下ろす方が物理的に掬いあげるより有利。シャリーちゃんはさらに加速する。オークキングが振り下ろすハンマーに上手くハンマーを合わせる。上手い、シャリーちゃんはハンマーに加速力と体重をのせている。これはセンスだな。
ゴッ!
岩がぶつかるような重い音をたてて、オークキングのハンマーが弾かれる。そこでシャリーちゃんはさらに加速してハンマーの柄の尻でオークキングの顎を打ち抜く。そして後退したオークキングの頭に上段からの渾身の一撃を叩き込む。狙ったのは喉、ほとんどの生き物は喉が弱点だ。上手くやれば、子供でも大人を昏倒させる事が出来る。シャリーちゃんはさらにえげつないことに、そのまま押し切ってオークキングの後頭部を地面に挟み込むように叩きつける。決まったな。
シャリーちゃんは距離を取り構える。そして動かなくなった事を確認して構えを解く。
「よっしゃーっ!」
シャリーちゃんは勝利のポーズを取る。ハンマーで天を突くやつだ。
「お見事!」
デルさんが駆け寄り、シャリーちゃんの頭を撫でる。
「特に最後の『喉輪落とし』がよかったわ」
「喉輪落とし?」
デルさんにシャリーちゃんはオウム返しする。よくわかってないみたいだ。
「あー、本能でやったのね、恐ろしい戦闘センスね。実演するから見ててね、ミネア、さっきのオークキングみたいな幻体を出して、ちなみに触れるやつね」
「はいなー」
妖精が黒い霧を出して、それがオークキングになる。けど、なんか顔が可愛らしい。
「なんか、攻撃するのが躊躇われる顔してるわね」
デルさんも可愛らしく感じているみたいだ。
「しょうがないじゃない、そんなにオークの顔なんてまじまじ見ないわよ」
妖精は少し拗ねている可愛い。
「じゃ、いくわよ、まず喉の喉仏の少し下の仏骨と言う名の急所に一撃くれながら、相手の顎が上がってのけぞった所をそのまま喉を掴んで、その手と同じ方の足を相手の足の後ろに入れて刈りながらバランスを崩した相手をそのまま地面に叩きつける」
ドゴン!
可愛いオークキングは一瞬にして大地に叩きつけられる。さっきシャリーちゃんの攻撃に酷似している。
「うわ、いいわね、あたしもやりたい!」
マイさんがノリノリで、オークキングを起こして『喉輪落とし』を練習する。
こうしてしばらく、デルさんの格闘技講座を僕たちは堪能した。