ミノタウロス王のハンマー
今日は朝から短編を書いて投稿しようと思っていたのですけど、気がついたら軽く1万字を超えていて、こんな時間になっちゃいました。まだ、書き終えてないので、近日中に公開しますのでよろしくお願いします。
「しゃー!どんどん行くわよ!」
シャリーちゃんは雄叫びをあげるとゴブリンのパーティーに飛び込んで行った。
なんか始めからそんな気がしていたが、シャリーちゃんは戦闘のセンスが高い。
ハンマーでの攻撃は防御されにくい代わりに、ハンマーでは攻撃された時には防御がしにくい。攻撃した相手を弾き飛ばせるので雑魚狩りに恐ろしい強さを発揮するが、剣士や騎士などの長剣や槍や竿状武器とはリーチの差故に若干相性が悪い。そういう相手の時は果敢に攻めて武器を破壊するのがセオリーだ。あと、何よりも強力な魔獣相手でも頭部に痛打を放つことで、一気に勝敗を傾ける事が出来る。
何が言いたいかと言うと、要はハンマーは漢の『ロマン武器』なのだ。群れ寄る敵をがつがつなぎ倒し、守りは捨てて攻撃あるのみ。巨大な敵も強力な渾身の一撃で葬り去る。
熱い漢の武器だが、それには必須なものがある。
何者にも物怖じしない、傷つくことを恐れない心の強さだ。あと腕力と回復手段だ。
シャリーちゃんにはそれが溢れるほどにある。
凪ぐ凪ぐ叩く叩く。一瞬のうちにゴブリンのパーティーを壊滅させた。ゴブリンパーティーには魔術師と神官も居たみたいだが、魔法を食らうのをお構いなしに突っ込んで行った。魔法は当たっても弾け散っただけだ。大神官の魔法防御の賜物だろう。
そのまま破竹の勢いで階層を降りていく。犬の頭のコボルト、豚の頭のオークなども参戦してきたけど、シャリーちゃんの敵ではなかった。けど、敵が少しづつ強くなって、攻撃オンリーでなく、回避する局面も出てきた。シャリーちゃんは遮二無二突っ込むだけでなく、しっかり敵の攻撃も見ている。
「シャリーちゃん、もう今のあなたは一般の王国の騎士より強いと思うわ。今から神官戦士を名乗っても問題ないと思うわ」
戦い終えたシャリーちゃんの肩をマイさんがぽんぽんたたく。
「今日からあたしは大神官美少女戦士シャリーなのね」
シャリーちゃんは拳をぐっと握る。
美少女ってつくとなんかどんな言葉も胡散臭くなるのは気のせいだろうか?
「やっぱ、そのハンマーって反則よね。あたし達はゴブリン倒せるようにまで3ヶ月以上かかったのに、シャリーはもうオークなんか倒してるし。まあ、私たちもそのハンマーにはお世話になったんだけどね」
デルさんがミノタウロス王のハンマーを見つめる。ん、このハンマーってそんなにみんなで使い回していたのか?
「ラパン、このハンマー頂戴!」
シャリーちゃんが僕に微笑む。やっとラファから呼び名がラパンに変わって来た。
「可愛い顔してもダーメー。僕はハンマー以外の武器使えないから、レベリング終わったら返してもらうよ」
「けーちー!」
ケチと言われても、これだけは譲れない。けど気をつけないと持ち逃げされそうだ。
そのあとも、進軍は止まる事無く、地下2層のフロアボスの間の前にたどり着いた。ここにいるのはオークキングだ。