女の子たちの戦い
「あなたは今はラパンちゃん、女の子でしょ。女の子同士お風呂にはいってなんか問題あるの?」
僕に向かって微笑むマイさんの目がギラギラしてる気がする。
こりゃ本気だな。どうやって切り抜けよう。なんか聞いてた話と違うな、マイさんってもっとお淑やかそうなイメージだったのに、なんかグイグイくるなこの人。
「マイ姉様、ラパン様が困ってますよ、記憶を失って弱気なうちに距離を縮めようという考えには私も賛成ですが、やはりいきなり裸はハードルが高いでしょう。まずはみんな水着からでいかがでしょうか?」
アンちゃんが救いの船を出してくれる。けど、アンちゃんの目も心なしかギラギラしてる気がする。
「マイ姉様もアン様もラパンの気を引こうとしてるのかもしれませんけど、私は今日まで一緒に寝てたんですよ、しかも何度も一緒に水浴びもしました。今の所私が一歩リードしてますね」
デルさんが立ち上がって薄い胸を張る。なんなんだ?今何が起こってるんだ?
なんかの戦いに巻き込まれているようだ……
「じゃ、デルは今夜はラパンちゃんと一緒に寝るのはなしだね。ラパンちゃん、今日はあたしと一緒に寝よう!」
ミカさんが顔を真っ赤にして僕の手を握ってくる。唐突になんなんだ?
「ミカ、もしかしてあなたもザップを狙ってるの?」
マイさんとミカさんが見つめ合う。なんか火花が散ってるような……
「あたしたち4人みんなザップ兄様が大好きです。今まではマイ姉様には敵わないと思ってましたけど、記憶を失った今ならチャンスがあるはずです。今のうちにポイントを上げていたらもしかしたらザップ兄様のヒロインになれるかもです!」
ミカさんは僕の手を離して拳を握り締め力説する。ザップってそんなにもててたのか?
ハーレムサーガの主人公みたいだな。
「いいわ、あたしは負けない。あたしがザップのナンバーワンになってみせるわ!」
マイさんがミカさんをビシッと指さす。なんか盛り上がってるけど、僕ってザップと同一人物なんじゃないのか? その前でする話ではないのではないか?
「じゃ、行くわよ」
デルさんが僕の左手を掴み歩き始める。
「「あーっ!」」
マイさんとミカさんは僕に駆け寄る。僕の右手を勝ち取ったのはミカさんだった。
そのまま温泉に連行されて行き、マイさんがタブレットを出して僕とマイさんとアンちゃんを瞬時に水着にする。ん、今僕から受け取るのではなく、マイさん自分でタブレットを出したような?
「あたしは収納の管理者だからこういう事もできるのよ」
マイさんがどやっている。
その前で、デルさんとミカさんもタブレットを出して瞬時に水着になる。しかもマイさんの言った事を流している。うわ、なんかサイレントな挑発だ。ん、2人とも自分でタブレットを出したな、もしかして僕の収納スキルがレベルアップしたのか?
僕の目の前には楽園が広がっている。
僕は白い水着で、マイさんは真っ赤な水着だ。すらっとした引きしまった体に綺麗な形の胸。正直、イメージ女神様みたいだ。
アンちゃんは黄色の水着で、僕よりは少し胸が大きい。手足が少し長めでとっても可憐だ。僕ももっと可愛いかったらなぁ。
デルさんは痩せてはいるけど、僕よりはお尻や胸は大きく大人の女性って感じだ。エルフさんなので、当然めっちゃ美人さんだ。将来あんなになれたらいいな。けど僕の中では、正体は力士だ。
ミカさんは凄まじい。小柄で痩せているのに、まるで果物かなんかを服の中に入れたかのような物体が胸についている。正直少し触ってみたくなる。けど我慢我慢。間違いなく責任を取らされるだろう。
僕はみんなに体を洗われて、なんというか緊張しまくった。やっぱり僕は心は男なんだと実感した。
まるで天国にいるような時間を過ごして、もっと長く眺めて居たかったけどのぼせそうなので先にあがらせてもらった。みんなにゆっくりとするように言ったけど、残ったのはアンちゃんだけだった。
「私もラパン様と一緒に寝たい所だけど今日の所は世話になったからミカに譲ってあげるよ」
アンちゃんがミカさんの背中を軽く押す。斯くして僕の意思に関係なく、ザップの部屋の1つのベッドに僕を挟んでミカさんとマイさんが寝て、後の2人はソファで寝ることになった。
いろんな事が目まぐるしく起こったけど、なにはともあれマイさんとアンちゃんが元に戻れてよかった。